こんにちは!
前回は宅建士の出題分野のうち、手付金と保全措置についてお伝えしました。
宅建業法の第14回目となる今回は「住宅瑕疵担保履行法」について、取り上げていきます。
では、さっそく一緒に見ていきましょう。
[stken1]この記事で学べること
住宅瑕疵担保履行法とは
品確法(住宅の品質確保の促進等にかんする法律)によって、新築住宅の売主は住宅の引き渡しから10年間、構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分につき、瑕疵担保履行責任(住宅の不具合や欠陥に対して賠償責任等を負うこと)が生じます。
とはいえ、売主に十分な資力がなければ、瑕疵担保履行責任を十分に果たすことができません。そこで、買主を保護するために「住宅瑕疵担保履行法」が定められ、売主に資力確保義務が課されました。
資力確保措置の対象について
資力確保措置の方法
資力確保措置として、以下2つの方法があります。
- 保証金の供託
- 保険への加入
それぞれ、見ていきましょう。
保証金の供託
売主である宅建業者が、主たる事務所の最寄りの供託所に金銭又は有価証券によって供託を行います。
供託額は、基準日前過去10年間に引き渡しを行った新築住宅の合計戸数をもとに計算します。万が一、保証金を還付したことによって不足が生じた場合には、不足の連絡を受けてから2週間以内に不足額を供託し、そこから2週間以内に免許権者に届け出なければなりません。
保険への加入
保険に関して、よく問われるポイントは以下の3点です。
- 宅建業者が保険料を支払う
- 保険金額が2,000万円以上であること
- 有効期間が10年以上
また、保険の申込みは工事開始時までに済ませておく必要があることも覚えておきましょう。
以上2点が資力確保措置の方法となりますが、住宅すべてについて供託、すべてについて保険契約を講じることはもちろん、一部を供託で残りを保険契約で補うことも可能ですので覚えておいてください。
資力確保状況の報告義務
宅建業者が新築住宅を引き渡した場合において、基準日(毎年3月31日と9月30日)から3週間以内に、保証金の供託もしくは保険へ加入した旨を免許権者に届け出なければなりません。
届け出がなされなかった場合、基準日の翌日から起算して50日を経過した日以降、新たに自ら売主として行う新築住宅の売買契約を締結できなくなってしまいます。
買主に対する説明義務
新築住宅の売主となった宅建業者が保証金の供託をしている場合、その旨を買主に対して説明しなければなりません。
説明は契約の締結前に、その住宅販売瑕疵保証金の供託をしている供託所の所在地その他住宅販売瑕疵保証金に関して国土交通省が定める事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければなりません。
保証金の供託をしている場合、売買契約締結までに供託所の名称や所在地等を書面で交付した上で説明しなければいけません。なお、この説明は宅建士でなくとも構いません。
また、保険で資力確保措置を講じた場合は保険証書の交付でよく、説明する必要はないことも押さえておきましょう。ただし、保険契約の締結が完了していない場合には当該保険契約を締結する予定であることや、保険内容の概要について伝える必要があります。
本試験過去問で確認しよう!
問:宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBに新築住宅を販売する場合において、Aは、住宅瑕疵担保責任保険法人と住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結をした場合、Bが住宅の引き渡しを受けたときから10年以内に当該住宅を転売したときは、住宅瑕疵担保責任法人にその旨を申し出て、当該保険契約の解除をしなければならない。(2016年:問45-4)
答:✕ (住宅販売瑕疵担保責任保険は、当該新築住宅の引き渡しから10年以上の期間にわたって有効でなければいけないため。)
まとめ
今回は、「 住宅瑕疵担保履行法 」についてお伝えしました。
そこまで難しい分野ではありませんが、宅建試験ではコンスタントに出題されている分野となりますので、過去問演習を軸にしてきちんと理解するようにしましょう。
次回は「報酬額の制限」についてお伝えします。
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