コンサルタントコラム

公開日:2024年9月30日

【コラム】社内の結束を高めるには? 賃貸管理の「粗利益」公開で意思統一へ

【コラム】社内の結束を高めるには? 賃貸管理の「粗利益」公開で意思統一へ
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは社内の意思統一です。

賃貸管理の粗利益を共有、社内の結束力を高める

管理会社が陥りやすい組織の一体感不足

こんにちは、コンサルタントの萩原です。

「うわ、管理物件また増えるのか」やっとの思いで新規の受託をしたというのに、社内からこんな悲しい『心の声』が聞こえてきたことはありませんか? 皆で管理の増加を喜ぶはずが、受け入れのスタッフ達は「また忙しくなる」と嫌な顔、こんな寂しいこともないでしょう。

一方で、管理解約が発生すれば、さして心配する様子もなく手続きは驚くほどスムーズ。解約を食い止めるのは難しいとしても、せめて理由を分析して改善策を考えてほしい、危機感を持ってほしい、という経営陣の願いも空しく、現場からは「給料上がらない」「ボーナス増えない」の声がチラホラ…。

さて、ここまで読んでうちの会社のことかな? と苦笑いを浮かべた方もいらっしゃるのではないでしょうか。一般に、縦割りの組織ではこうした「チームの一体感のなさ」に頭を抱えるケースが多いのですが、賃貸管理会社は特にこの一体感不足の状況に陥りやすいと感じます。

かくいう私も管理会社時代は、受託のたびに「また募集か」、PM担当時は「また抱えるオーナーが増えるのか」、管理離れに「業務が楽になる!」と思ったことがあったりなかったり…(笑)

当時の上司が読んだらと思うとゾッとしますが、これもまたリアルな現場の声、ということです。

手元に視線が落ちる賃貸管理業務

なぜ現場は自分のことばかりで会社全体のことを考えてくれないのか。そう愚痴をこぼす経営者の方も多いのですが、しかしこれは個人の関心の低さよりも、次々と業務が舞い込み、片づけるべき仕事で手元が一杯になりやすい、という賃貸管理業務の特性が大きく影響しているでしょう。

つまり、社員は目の前の仕事に焦点を合わせるのに必死で、会社全体に目を配るだけの余裕がないのです。そしてこの状況では、自分の仕事が全体の中でどんな意味を持つのか、どれだけ利益を生み出しているのかを把握することも難しく、管理戸数の増減による会社のメリット・デメリットも分かりません。結果、前述したような残念な働き方、考え方に陥ってしまうことになります。

会社の粗利益を共有し意思統一

社員の視線を手元から全体へと向けさせるには、社員が自分の仕事の意味や生み出す利益を把握できるよう、それを知るための機会を設ける必要があります。

例えば、会社の〝粗利益〟を項目別に毎月算出し、会議で社員全員に共有することも解決策の一つです。営業利益ではだめか?という声もありますが、ここで重要なのは自分達の業務がいくら利益を生み出しているかであり、運営費が入ると分かりにくくなります。

■表1:情報共有のための項目別・年間粗利管理表

(資料共有の際は月々の数字の推移や昨対比も意識させるとよい)

表1は共有資料の例です。管理料はもちろん更新料、原状回復、リノベーション、外壁改修工事、また新規契約における鍵交換代や火災保険等の各種手数料、売買部や建築部からの紹介料など細かく分類します。一覧にするとどの部署・仕事がどれだけ利益を出しているかが一目瞭然です。全体に対する管理料の占める割合(通常40~50%程度)も当然に可視化されます。

これを知ることで得る社員の気づきは多いでしょう。オーナー担当者であれば、通常の原状回復とリノベとの利益の差、大規模修繕を受注した際の利益の差に気づき、提案することの重要性を数字で理解します。

また冒頭のような、管理戸数の増減に対するリアクションも変わるはずです。管理が減れば資料の上で明確に利益が減り、自身の給与はそこから支払われることを知るのですから。

表には管理戸数や空室数、稼働率も入力します。稼働率が1%落ちたので管理料がいくら減少した、来月何室決めないといけない、ということや、サブリース物件の管理が離れたからどれだけ損をした、と分かれば、空室増や管理離れに対する危機感が共有されます。

公開だけでは不足、理解促す努力を

このように会社の情報が共有され、自分の業務がどの利益に貢献し、どれだけ会社の売上を支えているかを知ることができれば、社員のモチベーションは自然と高まり、自分の仕事に対しても誇りを持てます。

ただ、これらの情報は公開するだけでは不十分です。例えば、売上や原価、粗利益、生産性という言葉、あるいは、管理料やリフォームの粗利がどのように生まれているかなど、経営者がこのくらい分かるだろう、と思っていることも、現場には教わったことがないという人が少なくありません。空室対策など実務は教わっても、会社の数字の読み方は教わらないのです。

数値の背景やその意味を、部署の統括者、できれば経営者が説明しましょう。面倒に思うかもしれませんが、社員が全体の収益構造を理解し、経営に関心を持ってくれれば、結果に対して社員と一緒になって一喜一憂できるようになります。

会社の数字を管理するのは上層部の役割、という考えもあるかもしれませんが、数字を把握して一人ひとりの意識が変わることは「視野」の課題を解決し「一体感」の獲得につながります。

達成した時は讃え合い、未達の場合は鼓舞し合う。そんな職場にしたいですね。それができればもしかしたら、生産性が上がったから休日増やして!といった、経営者としては「耳が痛いけどなんか嬉しい意見」だって出てくるかもしれません!


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