「オフィスを飛び出しやってみた。」
このコーナーは、読者の皆さまに賃貸管理の「今」をお伝えするべく、弊社社員がオフィスを飛び出し、社内外のさまざまなイベントに参加する企画です。
今回のテーマは「オフィスのフリーアドレス制度」
実は、働き方改革の一環として同制度の導入を検討しているオーナーズエージェント。お世話になっている東京の管理会社がフリーアドレスを導入したというので、さっそくオフィスにお邪魔してきました!
どうする? 賃貸管理のフリーアドレス
業務改善のアイデアとして徐々に浸透してきた「フリーアドレス」
職場において「自席」という考え方を捨て、社員がその日の気分で自由に働く席を選択できる、いま注目の働き方です。
そのメリットとしては、主に次の3点が挙げられます。
1.コミュニケーション活性化・創造力の向上
フリーアドレスで最も期待されるメリットがこちら。
部署ごとの島が消え、馴染みのない他部署の方と接する機会が増えていくと、おのずとコミュニケーションが多様化していきます。すると社員間でさまざまな刺激が生まれ、発想につながり、新たな商品が誕生するといった好循環が生まれるかもしれません。
2.ペーパーレス化
皆さまは自席の引き出しや袖机に紙書類を溜め込んでいませんか? 仕事をする席がいつも違えば、紙書類は溜められません。フリーアドレスになると印刷を控えなければならなくなり、結果として紙消費を抑えることができます。
3.省スペース化
テレワークとの併用が前提となりますが、自席がなくなれば社員数と同じ数の固定席を置く必要がありません。普段の在席率に合わせた必要十分のデスクだけを残せば、オフィス空間を広々と使うことができそうです。
このようにメリットがある一方で、必要な書類や備品の保管が難しくなったり、勤怠管理などのマネジメントがやりづらくなったりと、フリーアドレスは決して良いことばかりではありません。
そこで今回、同制度を取り入れてオフィス環境を一新したという「株式会社カチアル」を視察。果たしてどのようなオフィスなのか、フリーアドレスの現場にお邪魔しました。
開放感のあるエントランス・応接ルーム
(エントランスから執務室が見通せる)
東京都新宿区の新宿センタービル内にあるカチアル社。
まず驚かされたのは、エントランスから執務室の奥まで見通せるオフィス全体の開放感でした。あちこちの壁がガラス張りになっており、音こそ聞こえないものの、働いている社員の皆さまの姿がすぐに分かります。
(写真中央の窓越しに見えるのはセミナールーム)
エントランスの先には広々とした応接ルームがありました。座り心地の良さそうな椅子がゆったりと配置され、階段に設置された「KACHIAL」の文字がセンス良く横たわっています。
(カウンターには多肉植物などが置かれ目の潤いに)
応接ルームの奥にいくと、窓側にオシャレなバーカウンター。
ここも働く場所の一つだそうで、気分を変えたいときの執務スペースとして使ったり、少人数でミーティングをしたりするそうです。座り心地も良く、暖色の照明が手元をしっかり照らしてくれる点も気が利いていました。
ちなみに、カウンター内は収納スペースとなっており、インスタントコーヒーなどの飲料用品が詰まっていました。こうした細々とした収納力が、機能性を損なわずにオシャレな空間を演出するコツなのかもしれません。
オフィスとカフェが融合した執務室
(写真右ではスタンディングで働く社員の姿も)
さて、応接ルームを抜けて、ついに本題の執務室へ。
間仕切りを極力排した開放的なワンフロアは、オフィスとカフェが融合したような雰囲気が満載。空間の中央にはソファが土手のように長く伸びており、まさにフリーアドレスならではの設備といえます。
(ダブルディスプレイで働けるデスクもある)
実際に働いているところをお邪魔したのですが、社員の皆さまはノートパソコンと少しの資料だけをデスクに置いて、いかにも身軽なご様子でした。
また、固定席だと紙書類を山積みにしがちですが、フリーアドレスでは退勤までに片付けなくてはならず、整理された状態が維持されるとのこと。
(執務室の窓側には机とソファを設置して個室空間を演出)
窓側に並べられた机やソファでは、ランチや休憩を取ったり、ちょっとした打ち合わせをしたり。使用目的が限定されない空間を作ることが、オフィスの働きやすさに繋がるとのこと。
ちなみに、背もたれの高いハイバックソファなら同じ空間にありながら個室感を味わえるため、社内でも人気が高いそうです。
どう解決した? 「フリーアドレス」のデメリット対策
フリーアドレス制を導入したことで快適な職場空間を手に入れたカチアル社。
ですが、同制度もメリットばかりではありません。たとえば「備品の収納スペースが減る」「社員のマネジメントが難しくなる」といったデメリットはやはり出てくるそうです。
そうした困り事を同社はどのように解決しているのでしょうか。
デメリットを乗り越えた「カチアル社」の判断!
(執務室奥の細長いロッカールーム・倉庫。収納スペースは以前より縮小した)
「備品の収納スペースが減る」
この問題について、同社は収納する物自体を減らそうと、特に場所を取りがちな書類や印刷用紙の削減を目指して徹底的なペーパーレス化を図ったとのことです。
契約関連書類はすべてスキャンして電子化し、書類の原本や印刷用紙のストックは社外にある別の倉庫に保管。業務や会議で必要な書類も、印刷せずにモニターやスクリーンで共有しているそうです。
さらに、執務室にたくさん置かれたゴミ箱を集約して3つにまで減らすという奇策も見られました。紙ごみを捨てにくい環境をつくることでペーパーレス化を促進しようというわけです。
(ゴミ箱は3つだけ。捨てられる場所を減らして紙の無駄遣いを戒める)
印象的だったのは、そんなペーパーレス化も、まずは「業務のIT化」を徹底しなければ実現できないという前提があったことでした。単に「紙を使わないようにしましょう」だけでは紙からの脱却は難しいのです。
ちなみに同社では、管理物件の鍵もすべて廃棄して、今後は持たないことにしたそうです。たとえ鍵を預からなくても、鍵紛失等のトラブルに対処できないわけではないため、この際、思い切って「鍵の管理をやめる」という決断をしたのだとか。
鍵の保管庫ごと廃棄したところ、収納に余裕が生まれたのはもちろん、業務のスリム化にも繋げられたといいます。
(思い思いの場所で仕事に打ち込む社員の皆さま)
「社員のマネジメントが難しくなる」
解決策はペーパーレス化に必要な「業務のIT化」にありました。
同社では社員一人ひとりの予定をグループウェア「サイボウズOffice」で徹底管理しており、1日から1週間、または1ヶ月と、社員の動向をいつでも把握することができます。
社内に自席がないため居場所が分かりづらいという課題もありますが、同社のオフィスは見通しの良いワンフロア。さらに内壁も会議室もガラス張りです。周囲を見回せば誰がどこにいるかがすぐにわかる設計となっています。
では、連絡を取りたい社員が出先にいるときはどうでしょう。
実はそれも対策済み。社員間のコミュニケーションを補助するチャットツールを導入しており、どこにいようと円滑に意思疎通を図ることができるのです。
また、コロナ禍で浸透してきたテレワーク対策として、社用携帯の「Googleマップ」を使って位置情報を把握し勤怠管理をしていると言います。在宅中に細々としたコミュニケーションが必要なときも、やはりチャットツールがあるのでいつでも密に連絡を取り合うことができるとのこと。
業務のIT化により、社内外問わず、上手に連携を図っているようです。
(遠方の支社ともライブモニターで常時つながる)
より良いオフィスづくりを目指して
カチアル社を視察できたおかげで、当社でもフリーアドレスのイメージがより具体的になってきました。
今はまだ固定席がずらりと並び、あちらこちらに紙書類が積まれている当社オフィスですが、今回の学びを活かして働きやすいオフィスに変えていきたいと思います。
フリーアドレスを導入した暁には、皆さまにもご紹介させていただきます。
どうぞお楽しみに!