コンサルタントコラム

公開日:2026年9月28日

【コラム】教育にAI活用、業務標準化の機会に

【コラム】教育にAI活用、業務標準化の機会に
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「新人教育の効率化」です。

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教育の「土台」を支える、AIの使い方

「またその質問か」で先輩社員の業務効率を低下させないために

こんにちは、コンサルタントの萩原です。

現場の方からよくご相談いただく悩みのひとつに、「新人教育の効率が上がらない」というものがあります。新しく社員が入るたびにイチから説明が大変、時間をかけて教えているのに知識が定着しない、何度も同じことを質問してくる…、教育担当になった先輩社員の悩みは尽きませんね。

しかしここは「何も知らない新人なら当たり前」と割り切って、メモの取り方やタスク管理のキホンから根気よく教えなければなりません。「またその質問か」と愚痴りたくなる気持ちも分かりますが、それが新人教育というものです。

ですが、「そういうものだから」という理由で“現状維持”でいいかといえば、決してそうではないでしょう。なぜなら、質問を受けるたびに先輩の仕事の手は止まり、説明の時間が取られているからです。学生が本人契約する際の必要書類は何か、法人契約では何の確認が必要なのか、ペット飼育時は敷金は増やすのか…、日常的に発生する様々な質問が、本来利益を生むべき先輩社員の手を止めている。

この問題を「そういうもの」として片づけ、現状維持を許容してしまっては、新人教育の効率を上げることはもちろん、組織の生産性を高めることも叶いません。

資料特化型AIで教育の負担を削減

とはいえ、新人に「質問するな」とは言えませんね。また、先輩が「教えない」ことも現実的ではありません。教育の現場では、言葉にせず「無言の圧力」によって新人に気を遣わせ、質問の数を強引に減らしているケースも多く見かけますが、これももちろん望ましい方法ではないでしょう(笑)

そこで弊社では、業務のルールや基準をまとめたマニュアルや社内資料をNotebookLMに読み込ませ、「新人が、まずAIに聞ける環境」を作りました(図1)。現時点で読み込ませている資料は10未満ですが、それでも基本的な業務の質問にかなり実用的な答えが返ってきます。

先ほどの質問例でいえば、学生契約なら身分証明書と合格証明書、親権者関係の確認が必要、法人契約なら登記や入居者との関係性の確認が必要、ペット飼育なら敷金条件や特約の確認が必要…、といった具合です。
さらには、申込者が外国籍、高齢者、年金受給者、無職など特殊だった場合の確認リストや、そのとき利用するべき保証会社、審査時の注意点なども教えてくれます。答えだけでなく、その周辺情報や基本ルールも併せて教えてくれるのです。

新人は先輩に聞く前に、まずAIに聞く。この体制に移行するだけで、新人は自分なりに論点を整理したうえで先輩に質問できるようになります。つまりAIが、先輩に相談する前の整理役になってくれるわけです。これだけでも一から十まで説明する先輩の負担が減り、新人も業務の仕組みや先輩の説明を理解するスピードが格段に上がります。

図1:リーシング部署の業務ルールを読み込ませたGoogle NotebookLM

AI教育の導入で進む社内業務の標準化

一方で、この取り組みで私が実感したのは、AI導入の価値は「AI利用後の効率の高さだけではない」という点でした。AIが自動的に回答し、新人を導く効果は素晴らしいものですが、私はむしろ活用の前段階に大きな価値を感じたのです。

その価値とは、社内ルールが整理され業務が標準化される点です。AIに回答役を担わせるには、まず答えとなる資料を読み込ませる必要がありますが、その資料をつくるには、申込の流れや審査基準を誰が見ても分かる形に整理し、ルールや条件を明文化しなければなりません。
教育の現場では、何となく先輩の頭の中にあったことを口頭で伝えたり、担当者ごとに微妙に違う説明をしたりが少なくありませんが、AIに資料を読ませる際には、その暗黙知を言語化し、曖昧さを是正する必要が生じます。

つまり、AI導入を機に社内ルールの棚卸しと標準化が強制的に進むのです。新人教育に悩む会社は多いですが、その背景には、そもそも教えるべき内容が整理されていない、という問題もあります。教育へのAI活用はその弱点をあぶり出し、場合によっては無駄な業務やルールを発見する機会にもなり得ます。実際に弊社の取り組みも、新人教育の効率化と同時に、組織の足元を整える作業になったと感じています。

人を育てる土台としてAIを役立てる

AIは便利な道具ですが、万能なわけではありません。例外案件、グレーな判断、オーナーや入居者との折衝など、人が考えなければならない領域は必ず残ります。ただし、答えがある程度決まっている業務の教育は、AIが一次回答を担うことで新人の成長スピードは確実に上がります。先輩は本当に教えるべき判断や応用に時間を使え、新人も自分で調べる習慣を身につけやすくなります。

AIは人の代わりになる存在というより、教育の土台を支える道具と考えた方がよいでしょう。その道具の性能を100%発揮するために、属人的になりがちな知識や運用を整理し、新人が安心して学べる環境を作る。その積み重ねが、結果として組織全体の生産性向上につながっていくのだと思います。

私も若手時代にAIが欲しかったですね。当時は、先輩に何度も質問するのが怖くて、色んな先輩に同じ質問を聞いて回ることもありました(笑) 分からないまま進めるのも怖い、聞くのも怖い、という時期が誰にでもありますよね。そういう意味では、AIは新人の味方であり、先輩の味方でもある。少なくとも、AIを活用すれば「またその質問か」と嘆く先輩も、少し気持ちが軽くなるのではないでしょうか。

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