賃貸管理の可能性に、挑む。
当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。
今回のテーマは「変革をもたらす社員の育て方」です。
身近に潜む「会社の常識、社会の非常識」
こんにちは、コンサルタントの高橋です。
さて、皆さんは「会社の常識、社会の非常識」という言葉をご存じでしょうか。この言葉は会社という組織が閉鎖的な空間であることを揶揄した言葉です。自社では当たり前の業務が他社からは「特異」に映るという、よくある話です。
かくいう私も業界内で転職をした際には、前職と180度異なる働き方や価値観に困惑した一方、新しい職場から大きな刺激と新たな知見を得たことを鮮明に覚えています。また、前職では「常識」だった事柄が、転職先では「ノウハウ」としておおいに重宝されたことも印象的でした。
このように、人事採用は外部から直接的に知見・ノウハウを得る絶好のチャンスですが、そう頻繁に訪れる機会でもない以上、企業としては「現職の社員」にどうにか新たな知見を獲得してきてもらい、社内にノウハウやマインドを広めてほしいと願うところです。
とはいえ、ただ見守っているだけでそれが始まるわけでもありません。社員に会社の「常識」を打ち破ってほしいと願うなら、積極的に「0から1をつくれる社員」を増やすことに注力すべきでしょう。
「0から1をつくる社員」を増やすには
会社には優秀な社員のタイプが2通りあるといわれます。
ひとつは、既存のやり方を踏襲し発展させ、業績や事業規模を拡大させるような「1を10にする」が得意なタイプ。
もう一つは、新しい方法で営業先を開拓したり、新商品を開発したり、長年やってきたことを良い意味で壊して改善させる「0から1をつくる」が得意なタイプです。
どちらも会社にとって重要な存在ですが、特に後者は社員の主体性が必要なこともあり、そう簡単に得られるものではありません。会社は社員それぞれが「1を10に」「0から1」どちらに適性があるかを見極め、その能力を伸ばしていく必要があるでしょう。
「0から1をつくる」社員の4つの特徴
「0から1」が得意な社員は、次のような4つの特徴を備えます。
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1.情報収集の守備範囲が広い
情報過多の現代、多くの人は無意識に情報の取捨選択をし、自分に直結しない情報はスルーしています。しかし、「0から1」タイプは、一見すると自分の業務に関係ないことまで知見として取り入れています。
新たな気づきは自分の守備範囲を超えたところにあるものです。たとえば、「他業界」の動向、「同業他社」の取り組み、社内の「他部署」の仕事など、自分の仕事に直結しない情報でも外部から常にヒントを模索しています。
2.アウトプットでアイデアを活性化
全社チャットなどを利用して、社内の情報共有を盛んに行なう社員がいます。
皆に関心を持ってもらいたい、仕事に生かしてほしいという目的があると思いますが、それと同時にアウトプットによって情報を自らに落とし込み、整理しながらアイデアを活性化させています。
3.挑戦の判断は「効果」の大きさ
新しいことを始めようとすると、必ずといっていいほど壁にぶつかります。
多くの人はその壁の大きさで挑戦を諦めますが、「0から1」タイプは壁の大きさよりも、壁を越えたあとの効果やメリットで挑戦の価値を判断します。
壁をどうするか、達成が現実的かどうかはその後に考えるのです。
4.仮説思考と行動力
「もっとこうできないかな」「こんなことできたら面白いよね」といった仮の話で盛り上がることはないでしょうか。夢物語は時間の無駄と一蹴される方もいますが、多くの改革・イノベーションはそんな仮説から始まるものです。
「0から1」タイプは、そんな突発的ブレスト会議から具体的なゴールを探し出し、とりあえず一歩踏み出してみる。そんな仮説思考と行動力を備えています。
まずは社員を外へ出してみる
上に挙げた1~4はすぐに獲得できる能力ではありませんが、最も磨きやすいのは「1.情報収集の範囲拡張」でしょう。外に出る機会を積極的に与えるだけでも社員の視野は広がるものです。
近年は業界団体や有志の方々のベンチーマークや勉強会など、同業種の交流が盛んになっています。
しかし、まだ経営層や幹部クラスを中心としたものが多く、現場で働く社員は「社会の非常識」に囚われていることが多いのではないでしょうか。
業界の内外を問わない他社との交流から、思わぬ有用なノウハウが手に入ることもしばしばです。時には社員を交流の場に送り込み、自社のノウハウを惜しみなく共有させ、外部から価値ある情報を引き出させましょう。
ところで、今月16日には「第5回REAA不動産甲子園」が開催されます。
全国の不動産会社の革新的な取り組みと成果を担当者がプレゼン形式で発表する「不動産会社の取り組み日本一決定戦」です。言い換えれば、「日本一を自負するノウハウの共有・発表会」です。
まずは社員にこんな「外部の知見」から調査させてみるのも面白いのではないでしょうか。