コンサルタントコラム

公開日:2024年3月1日

【コラム】2024年問題に考える賃貸業界の労働環境。改善のヒントを解説

【コラム】2024年問題に考える賃貸業界の労働環境。改善のヒントを解説
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは労働環境の見直しです。

2024年問題から考える、賃貸業界の労働環境改善策

問題も抱えつつ、他業界で進む働き方改革の動き

こんにちは、コンサルタントの高橋です。
今年の話題といえば、4月から適用の働き方改革関連法によって生じる「2024年問題」。物流、建設、医療などの労働環境を改善するために、従業員の労働時間に一定の制限が設けられることの弊害として、各サービスの範囲縮小・品質低下が起こる可能性があり、経済的影響も危惧されています。

中でも、賃貸不動産業界として特に心配されるのは、運送ドライバーの労働時間制限による「モノが運べない」という事態。業界各社の配送スピード等に影響を与えるだけでなく、輸送コスト増によるあらゆる商品・資材の高騰、さらに建設業界の2024年問題と合わさることで、建築費の高騰・建築期間の長期化も懸念されるなど、業界にとっても無視できない問題となりそうです。

こうした状況から、世間では制度発足による悪影響の部分ばかり取り沙汰されていますが、従業員の労働環境改善や安全面に配慮すること自体は本来とても価値のあることです。我々の業界もここ数年で働き方改革が浸透してきていますが、労働環境の見直すべき点はまだまだありそうです。

従業員を守ることも労働環境改善のひとつ

労働環境の見直しには当然ながら一定の効果が期待できます。

わかりやすいところでは「人材採用」です。転職先選びに労働環境を優先する人たちは今や多数派。年間休日数・有給消化率・平均残業時間などは、ある種の会社選びのバロメーターと化しています。

採用面接時に志望動機として「ワークライフバランスが大事です」なんて正面切って言われると、若い頃ほぼ仕事に人生を捧げてきた私などは違和感を覚えてしまいますが(笑)、しかし時代とともに仕事に対する価値観も変わっています。プライベートの充実で、より仕事に専念できるのであれば、会社としては歓迎すべき考えなのではないでしょうか。

また労働環境は休暇や労働時間といった条件面だけではありません。従業員の「退職を減らす」効果という意味では、顧客の度を超えた要求や暴言・侮辱といった、いわゆる〝カスハラ〟から従業員を守ることも環境改善の一つといえます。なんでも顧客優先ではなく、会社には従業員を守る姿勢も必要です。

対価をいただくのか、サービスをやめるのか?

しかし、労働環境改善を図れば、賃貸管理会社も物流業界と同様に「労働力不足」の弊害に見舞われます。労働時間が少なくなれば、その分は別の何かで補うしかありません。

表1は労働力を補うための施策例です。
「①社内努力施策」の採用や教育は大前提として、ツールを導入して業務を効率化する、アウトソーシングの活用で従業員に生産性の高い仕事をしてもらう、このあたりの施策はもはや必須といえます。

着目したいのは「②顧客の協力を得る施策」です。物流業界では「配送料の値上げ」「配送日数の増加(サービス縮小)」が始まることが予想されています。賃貸管理業も、労働力問題を解決するなら、仕事に対して正当な対価をいただくことを検討すべきではないでしょうか。

管理サービスの範囲が曖昧で無償で引き受けている業務があるなら、有償・無償の境界を整理して対価を払ってもらえるよう交渉する。また、昔からなんとなく続けている業務や一部のオーナーのためだけに実施してきた業務は、本当に必要なのか再検証して最適化を試みる。管理だけでなく客付としても利益が見込めない無償管理物件は、管理料をしっかりいただくのか、またはお付き合いしないのか見定めるべきでしょう。

新規管理受託においても、競合に勝つために利益度外視の管理料設定をするくらいなら、適切な企業運営・労働環境の維持のために受託を見送る、と判断することも可能なはずです。

顧客優遇施策で業務負荷軽減を推進

顧客の協力を仰ぐ策としては、「置き配のポイント化」に倣い、管理業務の軽減に寄与してくれた入居者やオーナーを優遇する(ポイント付与・費用減額など)という方法もあります。

会社によって業務負荷軽減の効果は異なるでしょうが、例えば、

・セルフ内見で成約になった入居希望者
・繁忙期に早めの退去連絡をくれた入居者
・セルフ退去(退去立会いをせず鍵はポスト投函)を選択してくれた入居者
・毎月の明細を紙からWEBへ移行してくれたオーナー、などです。

「損して得取れ」というように、一時的な支出をしてでも業務軽減につながる動きを促進することは、最終的に会社に利益をもたらしてくれます。2024年は他業界のピンチ脱出策をヒントに、自社の労働環境の見直しを考えてみてはいかがでしょうか。


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