キッチンまわりの印象を変える「キッチンシングルレバー水栓」
高コストなキッチン交換に変わる選択肢として
オーナー提案のトークに役立つ小ネタ集「空室対策100選コラム」
今回、注目する空室対策は「キッチンシングルレバー水栓」です。
築年が経つほど古臭さが目立つようになるキッチンは、それだけで入居率にも悪影響を与えてしまいがち。しかし、キッチン設備を丸ごと交換するとなると、本体価格に加えて工事費や撤去費なども必要となり、システムキッチンだと1戸当たり100万円以上のコストがかかってしまう場合も。キッチン交換がいくら空室対策に効果的でも、簡単に応じてくれるオーナーも少ないでしょう。
そこで検討したいのが、キッチン設備を箇所別に交換していく安価な空室対策です。中でも内見時に目につきやすい水栓を、従来のハンドル式水栓からシングルレバー水栓に変えるのは鉄板の対策。レバー操作だけで水とお湯の使い分けができる機能面のメリットはもちろん、水まわりに高級感や清潔感が演出でき、キッチン全体の印象改善も期待できます。
設置費用の目安は、1戸当たり概ね4万円前後から。物件ターゲットがカップルやファミリーといったキッチンの使用頻度が高い入居者なら優先して実施したい空室対策と言えるでしょう。
オーナー提案では複数の空室対策と組み合わせる
手軽な空室対策として効果的なシングルレバー水栓ですが、もちろん、それだけを変えれば入居が決まるわけではありません。ここで大切なのは、「キッチン」全体の印象改善。例えばキッチン扉の化粧シートが色あせている、収納棚の内部塗装が剥がれているなど、ほかに古臭さを醸し出している箇所があるなら当然にやり替える必要があります。そうした複合的な空室対策の中で最も優先順位の高いのがシングルレバー水栓なのです。単体で提案するのではなく、あくまでキッチン全体を改善するための重要箇所として、シングルレバー水栓を提案するべきでしょう。
また、既存設備の交換だけでなく、新たにタオルかけを造作したり、収納棚を増やしたりするなどして、より使いやすいキッチンを目指すのも手。入居者が見た目にも便利と感じやすいキッチンにすることで仲介業者も紹介しやすくなります。
多機能水栓で競合物件と差別化
ひと口にシングルレバー水栓と言っても、実は商品によって機能も形状もさまざま。安価に抑えるなら普通吐水(ストレート)のみの標準タイプで十分ですが、さらに一歩進んで多機能水栓で競合物件との差別化につなげるのもひとつです。
■シャワー機能・ホース引き出し機能つき
まずお勧めしたいのが、シャワー機能・ホース引き出し機能のついたシングルレバー水栓。新築戸建てや分譲マンションでは今や標準装備となり、賃貸住宅でも増えつつあります。カップルやファミリー向けの物件なら積極的に取り入れたい設備です。
■浄水器つき水栓
水道水を安全に飲みたい、おいしい水が飲みたいといったニーズに応え、特に女性や子育て世帯に喜ばれやすいのが浄水器つきの水栓です。水栓本体に浄水カートリッジを内蔵する浄水器内蔵型(蛇口一体)や、より本格的な浄水機能のあるビルトイン浄水器型(アンダーシンク)があります。
ただし、本格的な浄水器になるほどカートリッジ負担も高額に。試供用として最初の1本を貸主負担とするなど、導入する場合は金銭負担の交通整理が必要になるでしょう。
■デザイン水栓
キッチンの印象改善を図るなら、水栓のデザインにこだわってみるのもいいかもしれません。デザイン水栓でよく見るのは、大きくカーブしたグースネックタイプ。その名のとおりガチョウの首のように高く湾曲した形をしており、シンプルな形状のため掃除がしやすく、キッチンをすっきりと見せてくれます。
同じくシンプルな形の水栓では、U字タイプ、L字タイプも主張が控えめで、どのキッチンにも合わせやすいでしょう。
■タッチレス水栓
シングルレバーではありませんが、蛇口に直接触れずに水を出せるタッチレス水栓を導入するのもひとつです。洗剤や汚れのついた手で水栓を触れることにストレスを感じる入居者も少なくありません。タッチレスで高級感を出しつつ、使い勝手をよくして入居者満足度の向上を狙ってもいいかもしれません。