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宅建<法令上の制限>攻略法【2022年版】

投稿日:2022年6月23日 更新日:

宅建学習において、法令上の制限から勉強を始める方は多くありません。暗記ものが多くて、ズラッと並んだ数字や表を見ただけで「うわ~っ!後回し!」となってしまいがち。しかし法令上の制限は、暗記さえできれば正解しやすい分野です。ぜひ高得点を目指してほしいところ!

そこで今回は、法令上の制限の攻略法について解説します。攻略するには、まず法令上の制限という分野についてよく知ることです。苦手意識は一旦捨てて、少しずつ理解していきましょう。


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法令上の制限とは

法令上の制限という分野は、土地の利用等に対して一定の制限を加える法令で構成されています。みなさんが住んでいる街や住みたい場所(土地)に、どんな建物でも好きなように建てて良いというわけではありません。その土地がどのような区域なのか、どのような建物なら建てられるのか、など決まっていることがたくさんあります。もちろん、そのような知識を持って物件選びをする一般の方はほとんどいません。

そのため一般の方が物件を購入する前に、重要事項説明で宅建士がしっかりと説明しなければならない重要な内容となっているのです。

例えば大きな工場の密集地に、住宅街はあまり見かけないですよね。また低層住宅が広がるエリアに、高層マンションが建っていることも少ないですよね。その街がどのような街であり、どのような都市環境にしなければならないのかが決められているのが、都市計画法などの法令です。さまざまな制限を法令で設けることによって、住みよい街づくりを図っています。

法令上の制限からは、50問中8問出題。以下が出題される法令です。

  • 都市計画法
  • 建築基準法
  • 宅地造成等規制法
  • 土地区画整理法
  • 農地法
  • 国土利用計画法/その他の法令

過去の出題傾向

法令上の制限は出せる問題が限られている項目もあり、そのような項目は学習範囲が狭く過去問から繰り返し出題される傾向にあります。

以下の表は、細かい項目に分けた過去の出題傾向と重要度を表しています。

項目 傾向・重要度(4段階)
都市計画の内容・都市計画制限等 ★★★★
開発許可の要否 ★★★★
開発許可の手続・建築制限 ★★★
建築確認・単体規定 ★★★★
集団規定 ★★★★
宅地造成等規制法 ★★★★
土地区画整理法 ★★★★
3条・4条・5条の許可 ★★★★
国土利用計画法 ★★★★
その他の法令上の制限

最後の「その他の法令上の制限」は出題されない年も多いですが、出題されたら必ず得点しなければならない項目です。

頻出項目

過去10年間の宅建試験で毎年出題されている頻出項目は、以下の8つです。比較的出題範囲から満遍なく問題になる分野ではありますが、法令上の制限に苦手意識を持っている方は、まずは以下の項目を理解することを目標にして学習を進めてみましょう。

  • 都市計画の内容・都市計画制限等
  • 開発許可の要否
  • 建築確認・単体規定
  • 集団規定
  • 宅地造成等規制法
  • 土地区画整理法
  • 3条・4条・5条の許可
  • 国土利用計画法

攻略・学習法

法令上の制限の攻略法は、以下の2つです。

①ひたすら暗記する
②各制度(法令の仕組みや流れ、制限など)を理解する

法令上の制限の大きな特徴は、ズバリ「暗記」で得点できる分野ということです。正確に数字や定義などを覚える必要がありますが、ひっかけ問題も少ないためシンプルに正確に暗記をすれば良い、というわけです。

ただし暗記よりも先に、個々の制度をしっかり理解する必要があります。特に都市計画法の中の「区域区分」や「用途地域」はこの分野の基礎となっており、他の法令とも深く関わってきます。逆を言えば都市計画法をしっかり理解できていれば、他の分野でも同じ考え方や共通点を見つけることができるため、学習・定着スピードの向上にもつながるでしょう。

そのため、まずは都市計画法の全体像を把握するよう心がけてください。ひたすら暗記をする場合には、効果的な暗記方法を活用しましょう。短期間で覚えられ、長期間の記憶の維持が期待できます。

その他、税法5問免除科目の攻略法についても詳しくまとめているので、あわせて確認しておきましょう。

項目ごとの学習法

以下は項目ごとの学習法をポイントでまとめています。上記のような攻略法をうまく取り入れながら、項目ごとの学習に役立ててください。

都市計画法(出題数:2問)

都市計画法は、この分野における基本的な法律です。試験では大きく分けると「都市計画の種類と内容」と「開発許可制度」から出題されます。覚える内容が多く文字だけで覚えていくのは難しいので、内容をイメージしてストーリー化することをオススメします。そして過去問を解けば解くほど理解しやすくなるので、まず全体を把握したら、一問一答や過去問で慣らしていきましょう。

例題・解説

都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

① 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者であっても、当該建築行為が都市計画事業の施行として行う行為である場合には都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可は不要である。

② 用途地域の一つである特定用途制限地域は、良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。

③ 都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該事業地内において、当該都市計画事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更又は建築物の建築その他工作物の建設を行おうとする者は、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。

④ 一定の条件に該当する土地の区域における地区計画については、劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域である開発整備促進区を都市計画に定めることができる。

―平成25年度【問15】

ここでの誤りは②です。
①と②で迷うかもしれませんが、①は“都市計画事業の施行として行う行為”が例外に当てはまる行為として、許可不要となっており正しい記述となっています。「原則」と「例外」に注意。一方②の「特定用途制限地域」は、用途地域の一つではありません。「特定用途制限地域」は、用途地域が定められていない土地の区域内において定められます。用語の意味など細かい部分まで理解できていれば、間違いは防げるでしょう。

建築基準法(出題数:2問)

建築基準法は、国民の生命・健康・財産を保護するための法律であり、そのために建築物の構造・用途などについて守るべき最低基準を定めています。建築基準法の特徴は、とにかく数字の暗記が多いです。

「〇㎡以内の飲食店なら〇〇地域での建築が可能」
「木造〇階建て以上〇㎡超、高さ〇m超の建築物を新築する場合には建築確認が必要」

など、覚える量も膨大な上、数字に加えて「以上」「以内」「超」「未満」などの数値用語がたくさん出てきます。

毎日少しずつ覚えて暗記量を増やしていけば、網羅するのも難しくありません。一問一答を活用しながら、インプット・アウトプットをたくさん繰り返しましょう。

例題・解説

建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

① 建築物の高さ31m以下の部分にある全ての階には、非常用の進入口を設けなければならない。

② 防火地域内にある3階建ての木造の建築物を増築する場合、その増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であれば、その工事が完了した際に、建築主事又は指定確認検査機関の完了検査を受ける必要はない。

③ 4階建ての事務所の用途に供する建築物の2階以上の階にあるバルコニーその他これに類するものの周囲には、安全上必要な高さが1.1m以上の手すり壁、さく又は金網を設けなければならない。

④ 建築基準法の改正により、現に存する建築物が改正後の想定に適合しなくなった場合、当該建築物の所有者又は管理者は速やかに当該建築物を改正後の建築基準法の規定に適合させなければならない。

―平成30年度【問18】

正しいのは③です。
①②④の誤りの部分を見つければこの問題は容易です。防火地域「内」「外」、「~の全て」「~の一部(あるいは細かい指定部)」などの違いによって変わることを明確にしておきましょう。

宅地造成等規制法(出題数:1問)

宅地造成等規制法は、宅地造成に伴ってがけ崩れ等の災害が生じやすいであろう市街地を「規制区域」とし、災害防止の規制を行います。テキストのページ数が少なく得点のしやすい項目ではありますが、そもそも“宅地とは何か”“宅地造成とは何か”といったことをしっかり理解できているかが重要なポイントとなります。この1点は逃さないよう、暗記事項は完璧にしておきましょう。

例題・解説

宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

① 宅地造成工事規制区域は、宅地造成に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって、宅地造成に関する工事につき規制を行う必要があるものについて、国土交通大臣が指定することができる。

② 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合、宅地造成に伴う災害を防止するために行う高さが5mを超える擁壁の設置に係る工事については、政令で定める資格を有する者の設計によらなければならない。

③ 都道府県は、宅地造成工事規制区域の指定のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

④ 宅地造成等規制法第8条第1項本文の許可を受けた宅地造成に関する工事が完了した場合、造成主は、都道府県知事の検査を受けなければならない。

―令和2年度【問19】

誤りは①です。
こちらも比較的わかりやすい問題ですが、①の「国土交通大臣」の部分が正しくは「都道府県知事」となります。過去問学習がしっかりできていれば、ラクに解ける問題です。過去問を繰り返し解いていきましょう。

土地区画整理法(出題数:1問)

昔からある、古い住宅が並んだ整備されていない街ってありますよね。道が入り乱れていたり細く狭かったり、使い道に悩まされる不整形な土地だったり。そういった場所を住みやすく綺麗に作り変える事業が、土地区画整理事業です。自身の住んでいる街の、昔の地図と今の地図を見比べてみるとわかりやすいでしょう。

なんとなく全体的にごちゃごちゃしていた街並みが、道路はまっすぐ直角に交わり、建物の並びも揃っていて公園なども確保されているような、綺麗な街並みに変わっていませんか?そういった街の方が“そこで暮らしてみたい”と思えて、自然と人が増えてきますよね。土地区画整理法という基本的な制度を理解しておけば、問題を解くのはそれほど難しくないでしょう。

例題・解説

土地区画整理法における土地区画整理組合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

① 土地区画整理組合は、総会の議決により解散しようとする場合において、その解散について、認可権者の認可を受けなければならない。

② 土地区画整理組合は、土地区画整理事業について都市計画に定められた施行区域外において、土地区画整理事業を施行することはできない。

③ 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業の換地計画においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地として定めることができる。

④ 土地区画整理組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。

―令和元年度【問19】

誤りは②です。
まず土地区画整理事業の種類には、都市計画事業として施行されるもの施行されないものの2つがあります。そして土地区画整理組合は、そのどちらも施行することができるのです。ポイントとなる部分なので、知らなかった方もこの問題と解説を覚えておきましょう。

農地法(出題数:1問)

農地法の目的は国内の農業生産を増やし、食料の安定供給を確保することです。そのためには、農地と耕作者を減らす・無くすことはできません。農地として利用していた土地を住宅などの他の用途に変更することや、農業を行わない方への売買が自由に行われると、農地や耕作者が減ってしまう可能性があります。そのようなことを防ぐための制度が、農地法3条・4条・5条です。

この3条・4条・5条の各制度を、上記内容を理解した上で区別して覚えることが重要。それさえできれば、必ず得点できる1問となるでしょう。

例題・解説

農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

① 市街化区域内の農地を宅地とする目的で権利を取得する場合は、あらかじめ農業委員会に届出をすれば法第5条の許可は不要である

② 遺産分割により農地を取得することとなった場合、法第3条第1項の許可を受ける必要がある。

③ 法第2条第3項の農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社は、耕作目的で農地を借り入れることはできない。

④ 雑種地を開墾し耕作している土地でも、登記簿上の地目が雑種地である場合は、法の適用を受ける農地に当たらない。

―平成30年度【問35】

正しいのは①です。
正しいもので考えてもわかりやすいですが、②③④の誤りについても見分けやすいでしょう。農地法からの出題は得点しやすい問題となるため、とにかく3・4・5条についての理解が必須です。

国土利用計画法/その他の法令(出題数:1問)

国土利用計画法からは少なくとも1問出題されますが、まれに「その他の法令上の制限」とあわせた問題が出される場合もあります。国土利用計画法は、適正で合理的な土地利用を図り、土地取引の規制に関する措置を講じています。出題されるのは「土地取引の事後届出制」が中心です。どの区域の土地の取引なのか、土地の種類は何なのか、取引内容はどういったものなのか、それによって届出の必要性が変わってきます。

また、誰が、いつまでに、どんな内容を、どこに届け出なければならないのか、などの理解も必要です。テキストを読んで過去問を繰り返せば、すぐに理解して頭に入る内容といえるでしょう。

さらに「その他の法令上の制限」についてですが、これはさまざまな法令に規定されている「行為の制限」の内容について出題されます。「原則」と「例外」があり、特に“例外”を暗記しておけば得点の可能性は高いでしょう。テキストだけでも十分理解できるので、覚えるまで読み込んでください。

例題・解説

国土利用計画法第23条の届出(以下この問において「事後届出」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

① 土地売買等の契約による権利取得者が事後届出を行う場合において、当該土地に関する権利の移転の対価が金銭以外のものであるときは、当該権利取得者は、当該対価を時価を基準として金銭に見積った額に換算して、届出書に記載しなければならない。

② 市街化調整区域においてAが所有する面積4,000㎡の土地について、Bが一定の計画に従って、2,000㎡ずつに分割して順次購入した場合、Bは事後届出を行わなければならない。

③ C及びDが、E市が所有する都市計画区域外の24,000㎡の土地について共有持分50%ずつと定めて共同で購入した場合、C及びDは、それぞれ事後届出を行わなければならない。

④ Fが市街化区域内に所有する2,500㎡の土地について、Gが銀行から購入資金を借り入れることができることを停止条件とした売買契約を、FとGとの間で締結した場合、Gが銀行から購入資金を借り入れることができることに確定した日から起算して2週間以内に、Gは事後届出を行わなければならない。

―平成24年度【問15】

正解は①です。
誤りの3つは、必要な㎡数や条件を満たしていない、あるいは異なるものです。事後届出が必要な条件だけでなく、届出事項についても確認しておきましょう。

まとめ

〈法令上の制限 攻略POINT〉
・暗記が重要
・過去問や一問一答を何度も繰り返し解く
・各法令の制度についてイメージしながら理解する
・1問出題の項目は必ず得点する

法令上の制限は暗記がとても重要な分野であり、それを定着させるには過去問をひたすら解くことです。「何のためにどのような制限が加えられているのか」という法制度の趣旨をイメージし、”原則と例外”をしっかり押さえて理解していきましょう。ただし、この分野に関しても法について取り扱われているので、権利関係と同様に深入りしすぎないように注意してください。

暗記が面倒で取りかかりにくいと感じる方は、出題数1問の項目から取り組んでみてはいかがでしょうか?学習範囲が狭く、気楽に始められるでしょう。

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<監修>スタケン宅建講座ナビゲーター / 宅地建物取引士 / マーケティング事業部 / デザイナー / マーケター / スタケン宅建講座を7年間運営。当講座を使った自身の合格体験を元に、プロの講師陣と共同で講座開発に携わる。現在は動画を中心に元受験生として、宅建に最短合格するための「ノウハウ」を伝える活動に従事。デザイナーとしてスマホアプリのUI・UX開発実績も多数。

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