定期的な「除草」で物件全体のイメージアップへ
雑草・植栽を気にする内見者は7割
オーナー提案のトークに役立つ小ネタ集「空室対策100選コラム」
今回、注目する空室対策は「除草」です。
何度抜いても生えてくる雑草を小まめに取り除くのは簡単ではないですよね。そうかと言って伸び放題のままにしておけば、物件の景観を損ねるばかりか、内見者に管理状況を疑われて入居者募集にも悪影響を及ぼしてしまいます。
実際に、部屋探しで物件の管理状況を気にする人は意外と多く、21C.住環境研究会が実施したアンケート調査では、内見で「管理状況を確認している」人のうち、チェック箇所に「雑草の生え具合、植栽の手入れ度合」を挙げた人の割合は74.4%。そのうち24.5%が「それが(も)要因となり借りるのを断念した」と答えています。せっかく内見に結びついても、雑草のせいで入居を逃したとあっては非常にもったいないですよね。
■管理状況を確認した内容(内見時に「管理状況を確認している」回答者のみ/各項目単一回答)
(第9回首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査2021~2022年より引用)
また、伸び放題の雑草は害虫・害獣問題やゴミの不法投棄、火災、空き巣などの犯罪被害といったさまざまなトラブルを引き寄せる原因にもなります。コストを気にして除草に消極的なオーナーも少なくないですが、管理会社として雑草のリスクをしっかりと伝え、定期的な雑草対策の実施を勧めていきましょう。
予算・実施範囲によってベストな対策を提案
では、オーナーに対して具体的にどのような雑草対策を提案できるでしょうか。管理会社が検討したい対策として、主に除草、防草、転用の3つの方法が挙げられます。
除草(草取り、草刈り、除草剤の散布)
基本的な雑草対策となるのが、今回のテーマでもある「除草」です。草取り・草刈りは一時的な対策ではありますが、低コストで手軽に実施できるメリットがあります。除草範囲が広い場合や、物件が会社から遠いときは専門業者やシルバー人材センターにお願いするのもひとつですが、範囲が狭いなら、内見前や定期巡回の際などタイミングを見て自社スタッフでも対応できるとオーナーへのアピールになるでしょう。余裕があれば、草取り・草刈り後に除草剤の散布までできるとより効果的です。
防草(防草シート、砂利敷きなど)
せっかく除草をしても雑草は次から次へと生えてきます。そこで検討したいのが除草後の「防草」。防草シートの設置や、その上に砂利を敷くことで設置後の数年間は雑草が生えづらくなります。また、化粧砂利などの見栄えのするマルチング材を使えば物件の印象も変わり、空室対策にも活かせるでしょう。
ただし、防草シートを敷く前には必ず除草剤を散布してください。散布せずに設置すると、土中にあった種や根から芽が出て、シートなどを突き破る恐れがあります。先に土壌の下処理をしてから防草シートなどで覆っていきましょう。
また、コストはかかりますが、施工範囲が狭いなら真砂土や人工芝、コンクリート敷きを検討するのもいいかもしれません。
転用(花壇、植栽、自動販売機など)
予算があるなら、雑草が生える箇所を思い切って花壇や植栽スペースに「転用」するのも雑草対策のひとつです。定期的な維持管理が必要になりますが、花壇などの構造物を設置したり、草花や庭木、グランドカバープランツを植えたりすることで雑草の生えるスペースが制限され、美観を改善しながら雑草を減らすことができます。
また、土がむき出しの箇所をコンクリート敷きにしたうえで駐輪スペースにしたり、自動販売機を置いたりと賃貸経営に有効活用するのも手。単純な雑草対策ではなく賃貸経営を改善する手段として提案できれば、物件からの収入アップにもつながり、オーナーから「優秀な管理会社」と認識してもらえるかもしれません。
雑草が伸び始める前の対策が大事
除草にかかる費用は、草取り・草刈りだけで概ね1万円からが目安です。もちろん、除草範囲や必要な人員、雑草の処分費用、除草剤の散布を含めるかどうかなどでコストは変わってきます。オーナーと相談し、予算に応じた対策を講じましょう。
また、夏のピーク時に依頼をかけるとコストはさらに大きくなり、業者の手配自体も難しくなります。自社スタッフで行なうにも、炎天下での作業は熱中症の危険を高めてしまい、万一の事故が起こらないとも限りません。できるだけ雑草の伸び始める前に早めの対策を心がけましょう。