ニュースにヒトコト

公開日:2021年11月12日

「不動産共通ID」取得してみた! 取引加速に期待、不動産業界に与える影響とは?

「不動産共通ID」取得してみた! 取引加速に期待、不動産業界に与える影響とは?
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「ニュースにヒトコト! 気になるアレに注目!! 」

このコーナーは、賃貸管理に関するニュースの中から気になるものをピックアップし、当社のコンサルタントがヒトコト言わせていただく企画です。

「不動産共通ID」正式版の提供を開始

表記ゆれをクリアし、不動産情報のインフラ整備

(一社)不動産テック協会は、10月29日より国内の土地や建物等の不動産情報に対して共通IDを付与する「不動産共通ID」正式版の無料提供を開始した。

位置情報に関するシステム開発会社である(株)Geoloniaと共同で開発。現状の不動産情報は、同一物件の特定が難しく、各社が持つ不動産情報の連携が困難であるといった課題がある。

その解決に向け、不動産共通IDは、各社で管理方法や管理表記の違う不動産情報に対して、同一の物件を示す情報に共通のIDを付与。表記ゆれがある住所と物件名が入力されても、同じIDがレスポンスされる特定技術により、物件の特定が容易となるインフラ環境を構築する。これにより住所や物件名などの不動産情報のデータ連携にかかるコストが大幅に削減されることが見込まれる。

最新不動産ニュースサイト「R.E.port」2021年11月2日掲載記事より抜粋)

不動産共通IDとは?

皆さんこんにちは。コンサルタントの金井です。

不動産流通市場の活性化や、資産のさらなる活用促進を図るため、国土交通省が主体となって進めていた「不動産共通ID」。このたび、不動産テック協会よりその正式版の提供が開始されました。

不動産共通IDとは、各社で管理方法や管理表記の異なる不動産に対して、同じ物件だと示すIDを付与することで、誰もが目当ての不動産を簡単に特定できるシステムとなります。いわば、“不動産のマイナンバー”のようなもの、と言えるでしょう。

 

出典:一般社団法人不動産テック協会

 

不動産共通IDに似たものとして、不動産登記簿上の不動産番号がありますが、これは単なる整理番号であるため不動産取引における情報連携への活用は想定されていません。不動産の情報は、各社がそれぞれ個別に取得し、独自に管理されているのが現状です。

そのため、仲介業務や開発業務を行なう際、不動産の情報収集やデータの整理・管理が煩雑になり、苦労された経験がある方も多いのではないでしょうか。事実、不動産業界ではこれまでに下記のような課題が指摘されています。

《不動産情報のバラつきによる弊害》

  • 誤った住所や古い住所のまま登録されている物件が多く、郵送物が届かない
  • 不動産の修繕履歴が残っておらず、中古不動産の流通が阻害される
  • 社会問題となっている「空き家問題」の正確な実態調査が進まない
  • 「三丁目」と「3丁目」など住所情報に表記ゆれがあった場合に、同一物件の特定が難しくなる

こうした課題に対して、不動産共通IDを活用することより、仲介会社、管理会社だけでなく、ディベロッパーやリフォーム会社、銀行など、さまざまな企業間のデータ連携が容易に行なえるようになるわけです。

不動産共通IDを実際に試してみた

では、不動産共通IDを使った不動産の特定とは実際にどのようなものなのでしょうか。不動産テック協会のテストツールで試してみました。

 

例えば、弊社が入居する「新宿NSビル」の住所《東京都新宿区西新宿2-4-1》をシステムに入力すると、【13-295e-5201-e3f8-b574】という不動産共通IDが表示されました。

 

これを、あえて《東京都新宿区西新宿 “2ー四番地1号”》と入力して、再度共通IDを取得してみると…

 

やはり【13-295e-5201-e3f8-b574】という同じIDを取得することができました。加えて、IDの右には正しい住所表記が並び、修正依頼もできるようになっています。

たとえ同一の不動産でも、扱う情報の質や量は企業によってさまざまです。情報が入り乱れると、それだけ物件は探しづらくなりますので、共通IDを介して物件の特定が容易になれば、今以上に企業間の情報連携も取りやすくなりそうです。

不動産共通IDの活用メリット

不動産共通IDの広がりによって期待できる効果として、2021年4月に国交省から発表された「不動産IDのルール整備について」では以下のものが挙げられています。

《不動産共通IDの活用メリット》

  1. 不動産市場の透明性が向上し、不動産取引が活性化。コロナ禍の影響による市況急変を緩和する効果も期待
  2. 不動産取引に必要な情報入手に係る時間・手間、費用面でのコストが低減し、不動産業の生産性・消費者の利便性向上が図られる
  3. 必要となる情報入手が容易になり、低未利用不動産の利活用、所有者不明土地の所有者探索に資する
  4. 不動産取引に係るテクノロジーの一層の活用:不動産情報サイトにおける物件の重複掲載防止、おとり広告排除、AI価格査定の精度向上

不動産共通IDがどの程度普及するかは分かりませんが、すでに100社以上の利用登録がされており、その中には、不動産テック企業やシステム会社、法律事務所や大学など、不動産会社以外も目立ち、関心の高さが伺えます。

不動産業界に限ったことではありませんが、それでも我々の業界は非効率的な業務が多いとされています。

そのため、メリットの2番目に挙げた「時間・コストの削減」「生産性の向上」が叶うのであれば企業としても活用しない手はないでしょう。

 

想像の域を出ませんが、将来、不動産共通IDの活用が広がりとともに、REINSの強化版のようなすべての不動産情報が集まるようなシステムが登場すれば、不動産会社は自社のシステムとそのシステムとを「不動産共通ID」で連携することで、大幅な業務効率化が叶うようになりそうです。

例えば、仲介業者なら、IDを入力するだけで元付業者から情報を取得し、募集広告を作れるようになるかもしれません。

また、管理会社であれば、新規物件の管理開始時にオーナーからIDを取得するだけで物件情報を取得するできるようになるかもしれません(是非そうなってもらいたいものです!)

不動産共通IDが今後ますます普及し、業界に大きな役割を果たす未来に期待したいですね。

今回のヒトコトはこの人・・・


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