コンサルタントコラム

公開日:2025年12月26日

【コラム】効率化の時代こそ、人と向き合う

【コラム】効率化の時代こそ、人と向き合う
Scroll

賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「上司と部下の対話」です。

社員に“成長したい動機”を生み出す関わり方

真のワークライフバランスは相乗効果

こんにちは、コンサルタントの高橋です。

「ワークライフバランスを捨てます」2025年10月の自民党総裁選で新総裁に選出された高市早苗氏のあいさつの中で、この一言が印象的でした。ご時世的に賛否を呼びそうな発言でしたが、覚悟を示す強い言葉でもあります。

さて、このワークライフバランスという言葉、近年は「仕事とプライベートをきっちり分けること」と理解されることが増えました。その結果、仕事に対して“本気になりきれない社員”が増えていると悩む経営者も少なくありません。

もちろんオンオフの切り替えは大切ですが、本来の意味は「分離」ではなく、仕事と生活の双方が充実し調和が取れ、互いに良い影響を与え合う状態を指します。仕事の成果が私生活を豊かにし、私生活の充実が仕事の力になる――つまり、その本質は“相乗効果”にあるといえます

そして、その相乗効果を現実のものとするには、制度や仕組み以上に、上司と部下が向き合う「1on1ミーティング」の時間が欠かせません。昨今は効率化の波が進む中で、人と向き合う時間が真っ先に削られやすく、また忙しい管理職ほど1on1を後回しにしてしまう現実もあります。

しかし、組織の力を本当に引き出すのは、ツールでもシステムでもなく、上司と部下の対話です。一見“非効率”に見えるその時間こそが、社員一人ひとりの力を最も引き出し、企業にとって効率的な取り組みとなるのです。

社員の可能性は安全な対話の中にある

1on1の第一歩は、信頼関係の構築です。面談の際は指導の場ではなく、社員の話をじっくりと聴く場と割り切りましょう。次第に心理的安全性が高まり、「この上司なら本音を話せる」と感じられる関係の土台が築かれます。次に大切なのは、社員自身が課題や想いを整理できるよう支援すること。上司が答えを与えるのではなく、問いかけを通じて「気づき」を促すことで、社員の主体性と自律が育ちます。

そして最終的には、自ら課題を自覚し、目標を描き、行動に移せる状態へと導きます。上司がトップダウンで動かすのではなく、本人の内側から力が湧き出す――それが、1on1の理想的な形です。

また、1on1を重ねる中で、社員の意外な一面や新たな適性に気づくことがあります。以前、異動してきた女性社員との面談で「営業はやりたくない」と言われ、当初は事務職での配置を考えていました。しかし、話してみると本人は明るく人当たりもよく、どう見ても営業向きです。対話を重ねるうちに、営業が嫌なのではなく「育休明けで時短勤務の自分に務まるのか」という不安を抱えていたことが分かりました。そこで営業フォローという形で対外的な仕事を任せたところ、復帰後すぐに成果を上げ、今ではチームに欠かせない存在です。

この経験から学んだのは、人の可能性は対話の中に隠れているということ。1on1を通じて各社員の本音や価値観を知れば、企業は適材適所の配置ができ本人は「自分らしく働けている」という実感を得られます。その実感こそが、やりがいと成長を生み出していくのです。

社員の欲求理解し、成長の動機づけに

表1:1on1に向けて押さえておきたい、マズローの欲求5段階説

1on1では、例えばマズローの欲求5段階説において、社員がどの欲求段階にいるのかを見極めることが大切です(表1参照)。やる気が出ない社員の背景には、満たされていない1~5の欲求が隠れていることがあります。上司がそれを理解せず、ズレた働きかけをしてしまうと、かえってモチベーションを下げる結果になりかねません。

最初に確認すべきは、相手の1.生理的欲求・2.安全欲求が満たされているかどうか。つまり「安心して働ける状態」が整っているかです。不安を抱える社員に「もっと挑戦しないと」と伝えても響きません。まずは話を聴き、共感し、安心できる土台をつくることが先決です。

次に、3.社会的欲求が満たされる段階では、チーム内でのつながりや存在意義を感じられているかが鍵になります。

さらに、4.承認欲求を満たすには、成果や努力を具体的に認めることが重要です。「頑張ってるね」から一歩踏み込み、“何をどう評価しているのか”を明確に伝えることで自信が育ちます

そして、環境と承認が整った社員には、5.自己実現の欲求を刺激する段階です。上司が答えを与えるのではなく、問いかけを通じて気づきを促し、社員の中に“成長したい動機”を生み出す――それが、1on1で目指すべき関わり方です。

仕事に対して“本気になりきれない社員”を一朝一夕で変えることはできません。しかし、丁寧に対話を重ねれば少しずつ自主性や向上心の芽は育ちます。その積み重ねがやがてチームの熱となり、組織全体の力を押し上げ、確かな成果へとつながっていくのです。


初回相談無料

ゴリラの顔相談してみるバナナ

この一歩から、未来を変える方法が見つかります

現状を変えたいけれど、
取り組むべき課題がわからない。
そんな時もぜひご相談ください。
オーナーズエージェントが貴社と一緒に、
課題を見つけ出し具体的な解決法を考えます。

メルマガ登録

無料セミナー情報や事例などをお知らせします

ゴリラ メルマガ登録する