コンサルタントコラム

公開日:2020年11月20日

【コラム】冷静な判断がオーナーを救う! 管理会社が自覚するべき入居審査のスタンスと重要性

【コラム】冷静な判断がオーナーを救う! 管理会社が自覚するべき入居審査のスタンスと重要性
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「管理会社の入居審査」です。

安定経営の実現は、管理会社の入居審査にかかっている

こんにちは! オーナーズエージェントの萩原です。

10年以上の賃貸仲介・管理会社での現場経験を活かし全国の不動産会社様の収益UP、業務効率化のご提案をさせて頂いております。

 

管理会社に勤めていた頃、私は入居審査担当として年間2,000件の申込書類に目を通していました。

当たり前ですが、入居審査の目的は、オーナー様の賃貸経営を安定させるために、良質な入居者を選定し、問題のある方の入居を防ぐことにあります。

とはいえ、仲介会社さんが苦労して取ってきた入居の申込みです。

基本的にはどんな方であっても歓迎したいですし、自社仲介部門からの申込みなら尚更で、パワーバランスなどによってはなかなか断りづらいものです。

 

しかし、断りにくいからと入居審査を甘くしてしまうと、結果的にオーナー・管理会社双方に大きなダメージを与えてしまいかねません。

今回のコラムでは、私が実際に味わった苦い経験をもとに、入居審査の重要性と、審査時に管理会社が持つべきスタンスをお伝えします。

情に流されない俯瞰的な判断が必要

仲介も管理も両方やっている不動産会社にとって、「入居審査」はお客様の来店時からスタートすると言っても過言ではありません。

お客様の話し方や振る舞いなどの第一印象に始まり、その後の保証会社を含めた書類での審査を経て、最終的な入居の可否を決めていくことになります。

しかし、お客様を充分にチェックできる会社ばかりではありません。

とりわけ都市部に多い仲介部門を持たない管理会社では、審査担当者がお客様を目視で確認する、というのはなかなか難しいでしょう。

 

しかしそうなると、仲介会社から届く申込書や身分証明書を頼りに判断を下さなければなりません。判断材料が少ない中での審査となりますが、そんなときほど判断を鈍らせる情報も入ってくるものです。

たとえば管理会社の担当者のなかには、仲介会社から「この人、絶対に滞納とかする人じゃないので安心してください!」「とても穏やかで良い方ですよ!」といった強い“推し”を受けたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

仲介会社は直接お客様と対面しているため、お客様を前にして「審査がNGでした」なんてことになれば気まずさMAX

どうにか入居を後押ししようと、ついつい管理会社の担当者に対して感情に訴えるような手を使ってしまいがちです。

実際、私も仲介時代には熱を込めた推し文句を毎回使っていました(笑)

どれだけ効果があったのかは分かりませんが、誰しも必死なお願いを断るのは気まずいものです。中には「まあいいかな」と審査基準を緩めてくれた管理会社もいたのではないでしょうか。

 

しかし、管理会社は、この一瞬の甘さが命取りです。

厳しい言い方ですが、仲介が必死に推す人を入居させたからと言って、賃貸経営が成功するわけではありません。

管理会社はあくまでオーナーの味方である以上、仲介の言葉をうのみにせず、オーナーの立場でさまざまなリスクを想定しなければならないのです。

管理会社の判断が、賃貸経営の成功を左右します。仲介の気持ちを汲みつつも、入居後に問題を起こさないかどうかを冷静に分析し、俯瞰的な判断をすることが大切です。

保証会社まかせの審査は要注意。マナー違反者こそ危険因子

入居審査は一般的に、「保証会社審査」「管理会社審査」の2つの段階に分けられます。

場合によってはオーナーの最終審査もありますが、保証会社と管理会社が承認済であれば事実上「報告のみ」という形でしょう。

 

ところが、まれに「保証会社の審査結果のみ」で入居を判断し、管理会社独自の審査をスキップする会社を見かけます。確かに保証会社の審査さえ通れば、お金に関する不安は解消できるかもしれません。

しかし断言しますが、それは絶対にオススメできません

なぜなら、保証会社による審査は、やはり「滞納」という部分に重点が置かれたものだからです。言い換えれば、それ以外の入居後の「不安」は、その審査では解消されません。

滞納以外の「不安」とは、ずばり、入居後に発生する周囲への悪影響です。

良質入居者と悪質入居者、その違いはシンプルです。

前者は「滞納しない」「マナーを守る」「通常の対話ができる」といった、いかにも常識的な入居者です。一方、後者はその真逆を指します。

 

とりわけ「マナー違反者」は非常に厄介で、お部屋の使い方はもとより、周囲に与える悪影響も甚大です。

たとえば、単なる滞納者であればその部屋だけの問題です。最後は保証会社、または管理会社によって強制退去させられる結末が待っているので、まだ可愛い方と言えるでしょう。

しかし、マナー違反者は違います。彼らはその部屋だけでなく「建物全体」に影響を与えてしまいます

騒音やルール無視のゴミ出し、タバコのポイ捨てと、ほかの入居者の迷惑になることを繰り返し、建物全体の住環境を確実に損なっていきます。

 

対策を講じようにも一筋縄ではいきません。

騒音だと証拠特定が難しいですし、ルール無視のゴミ出しについては、ゴミ捨て場に防犯カメラがなければ犯人特定は困難です。

住み心地の悪い環境が続けばどうなってしまうか、容易に想像がつきますよね。良質入居者は続々と退去し、あとには悪質入居者だけが残ります。

加えて、次の募集にも悪影響が及びます。悪質入居者がいる限り、内見時の障害も発生しかねませんし、せっかく入居に結び付いても早期退去となる可能性が高いのです。

そして、負の連鎖が始まることになります。

《悪質入居者が与えるダメージ》

【管理会社に対して】

  • 対応に時間が取られ生産性ダウン
  • 社員の疲弊、ストレス(最悪の場合退職)
  • オーナーとの信頼関係の悪化

【オーナーに対して】

  • 原状回復及び募集時に発生するコストの増加
  • 空室損の増加

 

《悪影響のながれ》

痛恨の審査ミス。基本は「入れない」「育てない」「生み出さない」

オーナーや管理会社としては、可能な限り排除したい悪質入居者

しかし審査で「マナー違反者」を見抜くのは簡単ではなく、私も過去にこんな失敗をしたことがあります。

 

その入居者は40代の男性で、家賃4万円程度の部屋を至急借りたいと希望していました。

急ぎの理由は「今の賃貸住宅が老朽化で住めなくなる」のと、「仕事が忙しく部屋探しが遅くなってしまった」からとのこと。

あまりに入居を急ぐ姿勢が気にはなりましたが、本人確認の電話では普通に会話できましたし、保証会社も仲介会社も問題なく通過していため、私もそれ以上追求することなく審査を通してしまいました。

 

しかし、結果は最悪でした。

同僚から早々に苦情が入りました。その男性の隣に住む入居者から、夜中に電話が入ったそうです。怯えた声で、「隣の男性が奇声を上げて壁を叩いてくる!」「うちの玄関のドアを蹴ってくる!」と。

さっと血の気が引いたのを覚えています。

男性は酒乱でした。

 

調べてみると、その男性は同様の迷惑行為を理由に前の部屋を追い出されていました。

タラレバになりますが、その男性の住んでいた部屋の管理会社に連絡を取り、本当に住居を取り壊すのか、あるいは退去の理由(教えてくれる可能性はかなり低いですが)を確認していれば、審査の段階で入居を食い止められていたでしょう。

今でも悔やまれる案件です。

悪質入居者を見抜けないと、周りの入居者にも損害が及び、オーナーの賃貸経営や管理会社の業務にも大きな負の影響を与えます。

もちろん、入居審査でどれだけ注意しても防げない場合もあるでしょうが、仲介の推しに流されず、保証会社への加入だけで安心しない入念な審査を行なうことで、少なくともリスクを減らすことはできるはずです。

 

大事なのは、悪質入居者を「入れない」「育てない」「生み出さない」ことです。

次回はこのなかの「入れない」にフォーカスして、具体的な審査手法と管理会社が行える事前対策などについて解説します。


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