コンサルタントコラム

公開日:2024年1月26日

【コラム】人材育成のプロセスを解説② 賃貸管理会社の評価制度を紹介

【コラム】人材育成のプロセスを解説② 賃貸管理会社の評価制度を紹介
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賃貸管理の可能性に、挑む。

当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

今回のテーマは「人事評価制度」です。

評価制度のヒントを紹介。ミッショングレード制とは?

会社・社員の成長を促す評価制度とは?

個人の活躍を正当に評価・成長を促す評価方針

こんにちは、コンサルタントの高橋です。
前回のコラム記事では、形式的な評価制度から脱却し、会社・社員の成長を促す「人材育成のプロセス」として評価制度を活用するためのポイントを解説しました。今回は、実際に弊社が運用する「ミッショングレード(役割等級制度)」を例に、人材育成を前提とした評価制度の詳細をお伝えします。

ミッショングレードという評価制度では、社員全員に役割に応じた「ミッション」を持たせ、その達成度を半期毎に評価して昇給・昇進を決定します。

同制度によって得られる、スタッフ各人の状況に合わせた目標設定が可能となる・複数の基準から各人を細かく評価できる・仕事を通じて達成すべきことを各人が自覚しやすい、といった利点は、「個人の活躍を正当に評価し成長を促したい」と考える弊社と相性が良く、また同様の評価方針を掲げる企業の皆さまにとっても制度構築のヒントになると考えます。

複数の基準から個人を評価

ミッショングレード制のキモは、なんといっても各人に3~4つ設定されるミッションの内容です。目標に応じた複数のミッションを持たせることで、会社は各人を多角的な視点から評価できるようになります。

目標は主に①業績目標(売上・件数)②行動目標③成長目標に分けられます。

①業績目標

業績目標は、会社の目標を部署・個人のレベルへと落とし込んだ数字を用います。
例えば、オーナー提案工事の売上高や件数、担当物件の稼働率など、会社の業績に直接寄与する内容です。営業以外の部門も同様に日々の業務を数値化し、評価基準を曖昧にしないことが重要です。

②行動目標

行動目標は、業績目標を達成するための行動数を評価します。結果が一番重要なのは当然ですが、結果に至るための行動の数(オーナー面談数や提案数など)を評価することで、良い点や改善点を具体的に見出すことができます。

行動目標はクリアしたのに業績(売上)目標に届かなかった社員は、行動の数ではなく質(面談や提案のやり方など)に問題があるかもしれません。目標達成の○×判定だけで終わるのではなく、上司は評価対象者に対して成長を期待し、改善点をフィードバックしましょう。

③成長目標

成長目標は、前回も触れた通り、自身の成長のためにすべきことを設定します。
3年・5年・10年後…どのように成長していたいかを想定したうえで逆算し、この評価期間でなすべきことを目標に設定します。今は地味で影響力の少ない仕事しかできなくても、経験を積んだ将来は複数のキャリアパスがあることを会社は見せるとよいでしょう。
会社の規模や業態にもよりますが、管理職・オーナーの賃貸経営コンサル・売買や建築部門へのコンバートなどが挙げられます。

会社・社員の成長を促す評価制度とは?

社員に期待する役割を明確化し公開する

「彼はそろそろ主任でいいのでは」
「彼女は前回昇進したばかりだからまだ早い」

評価対象者の昇進判断は人事評価において難しい場面の1つです。もし昇進が見送りになった理由を尋ねた結果が「また頑張ったらいつか評価されるから…」といった曖昧な答えであれば、「じゃあ私はどうしたら昇進できるんだろう」評価対象者はこう思うでしょう。

人は目的地(ゴール)を知らされずに走り続けるのは辛いもの。目的地が近くにあると信じて半年、1年は頑張れても、同じ状況がさらに続けば息切れもしますし、走りを止めてしまうこともあります。

職務要件サンプル

このような時に必要なのは気休めの言葉ではなく、役職毎の明確な「基準」と、オープンにされた「職務要件(または職務記述書)」です。

職務要件とは、表1のようにポジション毎の人物イメージや期待役割、こなすべき職務内容等を記載した一覧です。弊社では部署・役職毎にこれを定め、昇進人事の判断に活用するとともに、全社員に公開しています。基準が明らかにされることで、スタッフ各人が自分に足りないもの、今の自分に期待されていることを自覚できます。

出来合いの制度を取り入れるだけで、人事評価制度の構築が成功することはまずありません。社員の年齢や経験、仕事に対するマインドや家庭の事情などが異なるのはもちろん、会社や経営陣など、評価する側の考える使命や経営判断基準についても「よその作った基準」とは異なるからです。

また、制度が完成したことや、公平で不満なく運用できているというだけで制度構築が成功したと考えるのも早計です。あくまで目的は、評価を通じて会社・社員の成長を促すことであることを忘れずに。


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