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【コラム】増える入居者対応。業務負担の軽減が今後の課題

2020.09.11
  • コンサルタントコラム

    賃貸管理の可能性に、挑む。

    当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。

    今回のテーマは「コロナ禍とアフターコロナの入居者対応業務」です。

    コロナ禍が変えた入居者の生活

    こんにちは。コンサルタントの高橋です。
    私たちの生活に様々な変化をもたらした新型コロナウイルス感染症。外出自粛やテレワーク推進によって、多くの人が自宅で過ごす時間を増やさざるを得ない状況に陥ったことも、その変化のひとつでしょう。

    株式会社ヴァリューズ(東京都港区)が8月に実施した調査(※)では、「新型コロナウイルス感染拡大前(2020年2月頃)に比べ、在宅時間はどのように変化したのか」という質問に対して、約7割が【増加した】と回答しました。在宅時間の拡大で、賃貸住宅の入居者にも大きな変化が表れています。

    弊社の提供するコールセンター「プロコール24」の入電データを基に確認してみましょう。

     

    ※株式会社ヴァリューズ「withコロナで変化する消費者意識を調査」

    騒音・ゴミの入電が急増、解約受付数は減少

    忙しい賃貸管理会社に代わって入居者対応を行なうプロコール24では、お電話で寄せられたお困りごと・クレームに対応するのはもちろんのこと、その入電内容についてすべて記録し、統計を取っています。

    今回は、プロコール24に寄せられた1世帯あたりの入電数について、昨年4月と今年4月とを比較してみました(図1)。

     

    《図1.プロコール24 首都圏入居者からの入電数比較》

     

    まず目立つのが、騒音に関するお問い合わせです。

    こちらはなんと昨年の1.8倍と極端に増加しています。学校にも行けず外で遊ぶこともできない子どもたちは、いつも以上に自宅で活発に動き回りますし、一方で、社会人の一部の方は在宅勤務を命じられて在室しています。

    子どもたちのはしゃぐ声、大きな声での電話やオンライン会議、中には連日のオンライン飲み会で深夜まで騒いでいるお部屋も…。

    世の中の自粛ムードに反して、物件内には騒音トラブルの発生条件が十分すぎるほど整っていたと言えるでしょう。

     

    続いてゴミに関するお問い合わせですが、こちらも1.8倍の増加を見せています。

    自宅で食事をする機会が増えたうえ、買い物はネット通販の利用が活発化するなど、各世帯のゴミの量は確実に増えています。

    また、5月の大型連休は外出もできなかったため、自宅の大掃除に取り掛かる入居者が続々と発生。ゴミ問題が一斉に噴出したものと思われます。

     

    そのほか、家賃に関するお問い合わせが1.2倍増。こちらは家賃の減免や給付金の申請などの入電が中心です。

    また、TV・インターネットに関するお問い合わせは1.5倍増に。特にテレワークで必要不可欠なインターネット回線について、工事の可否や通信速度に関する質問が増加したようです。

     

    大方の入電が増加した一方で、減少したのが解約受付です。

    入電データによると、首都圏では解約に関する入電が昨年より約1割(全国的にも1~2割)減少しました。

    4月上旬に緊急事態宣言が発出された後、当社内でも入居申し込みが立て続けにキャンセルになりましたし、複数の管理会社からは、今年は入退去が少なかったという声も聞こえてきます。

    コロナを気にした引っ越しの自粛や、コロナの影響による内定取り消しなどが原因でしょう。

    アフターコロナでも入電増は予想されるか

    以上のように、コロナ以前とコロナ禍中とを比較することで様々な入電の増加が見えてきました。

    では、アフターコロナではどのようなことが予想されるでしょうか。

    ひとまず、平穏な日々が戻ってくれば入居者のストレスもなくなり、入電数は今の状態よりも減少するでしょう。

    しかし、半ば強制的なテレワーク体験によって、人々は仕事や学習、コミュニケーションが「どこでも可能かもしれない」ことに気づいてしまいました。

    おそらく今後、在宅勤務は今よりずっと普遍的な働き方となり、自宅に長くとどまる人も増加するはずです。

    そればかりか、ビデオ通話やオンライン飲み会といったコミュニケーションの形も一般的になるでしょう。そうなると、特に入居者対応は「騒音」トラブルによって業務の負担が大きくなりそうです。

     

    管理会社にとって騒音のトラブルは悩みの種です。なぜなら騒音は、原因の特定が難しく、その多くが終わりのない対応となりがちだからです。

    仮に騒音元が判明したとしても、

    • 「証拠がないと断定ができない」
    • 「そもそも被害を訴えてきた本人が過敏すぎる可能性」
    • 「全戸に注意文を投函したら別の部屋から『私はうるさくしていない!』と怒りの声が…」

    なんてことも。

    時間と労力、そして神経を使う騒音トラブルが増えるかもしれない…、この予想は私としても実現してほしくないところです。

    増加する入居者対応。社員の負担軽減が課題

    入居者対応が増えたとしても、それが管理会社の仕事だから仕方がない、と言ってしまえばそれまでですが、貴重なリソースを入居者対応「だけ」に充てるのは、正直もったいない話です。

    それどころか、リソース不足が祟って、管理戸数の減少・管理物件の稼働率低下といった売上減少につながる恐れも十分に考えられます。

     

    まだまだ先行き不透明なコロナ禍。

    管理会社としては、いかに社員の業務負荷を軽減させ、一人ひとりの労働生産性を上げていくかが今後の課題となりそうです。

    • 高橋
      高橋 宏
      コンサルティング事業部
      プロフィール:

      富山県富山市出身。 15年以上培ってきた仲介・管理の実務経験をもとに、賃貸管理のコンサルタントとして管理会社様のご支援をさせていただいております。

      皆様に喜んでいただけることが私の仕事のやりがいです。常に顧客目線で提案することをモットーとしています。

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