賃貸管理の可能性に、挑む。
当コラムでは、「賃貸管理ビジネスを成功に導くためのポイント」を、オーナーズエージェントのコンサルタントたちが分かりやすく解説します。
今回のテーマは「WEBサイト活用術」です。
存在感を増しているWEB発信
皆さん、こんにちは。コンサルタントの金井です。
今回は管理会社のWEBサイト活用術についてお話します。
近年、インターネットやスマートフォンの普及により、来店が一般的だった部屋探しはWEBへとその場所を移しています。
皆さんも肌で感じていらっしゃる通り、ここ数年はIT化の波とコロナ禍の影響も相まって、賃貸業界でも加速度的にWEBの存在感が増してきました。
事実、インターネットを使ったお部屋探しが主流となり、今やWEBでの情報発信がオーナーの収益アップにダイレクトに影響を及ぼしています。
ほとんどの管理会社でも、入居者向けにWEBサイトで物件情報を掲載したり、各種ポータルサイトの情報を充実させたりと、ネットを活用した集客に力を入れるようになりました。
しかしながら、私たち管理会社の顧客となるオーナーに対してはどうでしょうか。皆さんの会社では、自社のWEBサイト上でオーナーに向けた情報発信を充分にされていますでしょうか。
入居者だけでなく、オーナーもインターネットを使って管理会社を探す時代です。
ところが、日本全国さまざまな管理会社からお話を聞いていると、オーナー向けの情報をWEBでしっかりと発信できている会社はまだまだ少ないように感じます。
新たな管理会社を探しているオーナーが、もし貴社のWEBサイトを訪れたとして、そこに求める情報がなければすぐに立ち去ってしまうでしょう。
オーナー向けに作られていないWEBサイトでは、せっかくの受託の機会をみすみす逸してしまうことになりかねないのです。
貴社が管理戸数を増やしたい、受託を強化したいとお考えであれば、まずは自社のWEBサイトにオーナー専用ページを設け、営業の場として活用してみることをお勧めします。
WEBサイトに載せる情報は?
WEBサイトの活用にあたって、まずはオーナーがどんな悩みを抱えていて、何を求めてサイトを訪れたかを、下の表のように考えてみることが必要です。
◇自主管理に限界を感じている
◇いまの管理会社に不安・不満がある
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こうした悩みを抱えるオーナーが、貴社のWEBサイトを訪れたとき、ちょうど問題解決のヒントになるような情報に出会えたら喜んでもらえそうですよね。
その情報をきっかけに別のサイトページを読んでくれたり、お気に入り登録をしてくれたりするかもしれません。サイトのリピーターになってくれれば、貴社のサービスに関心を持ってくれる日も遠くはないでしょう。
このようにオーナーのお悩み解決に繋がる有益な情報をどれだけ発信できているか、しっかりと「見える化」できているかが、反響獲得のチャンスを広げる鍵となるのです。
では、オーナーの注目を集めたいとき、私たちはWEBサイトにどのような情報を載せるべきでしょうか。
他社との違い・強み
まずお考えいただきたいのは、貴社の強みの明確化です。
数ある管理会社のなかで、他社とは何が違うのか、オーナーにアピールできる強みは何かを挙げてみましょう。
たとえば…
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上に挙げたものはすべて管理会社の強みといえます。そのなかで、特に貴社がオーナーにアピールしたいことを掘り下げていきます。
強みを明確にするためには、SWOT分析を用いて自社の特性を客観的に把握することから始めるといいでしょう。
SWOT分析とは、自社の強み(Strength)・弱み(Weakness)といった内部環境と、自社を取り巻く業界の機会(Opportunity)・脅威(Threat)といった外部環境を分析し、自社の特性を客観的に診断する方法です。
管理戸数・稼働率
他社との違いをアピールする上で、管理戸数を載せるのも有効です。どのくらいの規模で管理を行なっているのかは、そのままオーナーの安心感に繋がります。
また、数字を載せていても情報が古いままになっている残念なWEBサイトをよく見かけます。
サイトの更新が遅いと、オーナーに「大丈夫だろうか」と不安を与えてしまいますので、せめて月に1度は更新して、最新の管理戸数を記載するようにしましょう。
一方、管理物件の稼働率も、オーナーが管理会社を判断する重要な指標となります。仮に管理戸数がそれほど多くなかったとしても、稼働率が高ければオーナーへのアピールには充分効果が期待できます。
管理メニュー
他社と比較検討したいオーナーに対し、いくらの管理料でどこまでのサービスを行うのかを伝えることができなければ、せっかくの機会を逃してしまうことにもなります。
サービス内容を言語化し、管理メニューとして整理して、自社の存在価値をオーナーに伝えるチャンスを広げていきましょう。
ちなみに、私の経験上、多種多様な管理業務の内容を「見える化」できていない会社も多い印象です。
細かく明確化できれば、それだけでライバルと差を付けることができます。ぜひ自社のサービスを振り返り、業務内容を洗い出してみてください。
管理会社を利用するメリット
管理業務は、募集活動、入居者対応、物件維持、家賃集金、滞納トラブルなど多岐に渡ります。あまりの煩雑さに、ご自身で物件を管理しているオーナーは日々多くのストレスを感じているはず…。
そこで、貴社のサービスを組み込んだ、より円滑な賃貸経営の形をWebサイトで提案してみてはいかがでしょう。
管理会社の利用メリットを分かりやすく伝えることができれば、オーナーも「これなら管理会社に任せた方がいいのでは?」と考えてくれるかもしれません。
受託事例として、実際に管理を任せてくれているオーナーの声などを合わせて掲載できれば信用度もグッと上がります。
仲介件数・店舗数
年間の仲介件数や店舗数を掲載しましょう。
管理替えを検討しているオーナーの多くは、いまの管理会社の客付け力に不満を持っているからです。
もし貴社が豊富な実績や業界ネットワークを持っているなら、そちらも惜しみなく公開すべきでしょう。
スタッフ写真・紹介
貴社のWEBサイトを見て問い合わせをしようかどうか迷っているオーナーに対し、意外な後押しになるのがスタッフ写真です。
ネットが普及したことで、来店や電話以外でも問い合わせができるようになりましたが、どんな人が働いているか分からなければ不安を感じることもあるものです。
WEBサイトにスタッフ写真を載せたり、趣味や好物を交えて紹介文を書いたりすることで、オーナーに親近感と安心感を与えることができます。
コラム記事・事例集
最も他社と差別化しやすく、反響を獲得するために特に重要なのが、オーナーへの情報発信です。
定期的なコラム記事(最新の賃貸市況・空室対策アイデア・不動産に絡んだ法律の解説など)を書いて発信したり、空室対策の成功事例(リノベーション・大規模修繕など)を掲載すれば、オーナーに対して「自分に役立つ情報を与えてくれる会社」というイメージを抱かせることができます。
また、相続対策・投資分析といったコンサルティング事例や、セミナー開催の実績などがあれば、それらも必ず載せましょう。コンテンツに乏しいサイトより、賑やかなサイトの方が印象は良いですよね。
とはいえ、一人の担当者がずっと更新をしていくのは現実的ではありません。担当を決めて持ち回りでやることが継続のコツです。
いくつか例を挙げましたが、WEBサイトは一度作ってしまえば年中無休、24時間365日働き続けるスーパー営業マンとして活躍してくれます。
せっかく訪れてくれたオーナーの興味を引くためにも、自社の強みを明確にして、有益な情報を継続的に発信できる体制を整えておきましょう。
次回は「ネット集客」をご紹介!
当たり前ですが、WEBサイトを作って終わりにしてはいけません。サイトの準備が整ったら、次に考えるべきはどう顧客を呼び込むかです。
次回は「お金をかけずにできるWEB上の集客」について解説していきます。
お楽しみに!