最新「賃貸契約者動向調査」発表
コロナ禍の賃貸事情、広がるオンライン内見
オンライン内見実施者(オフライン内見併用者含む)が約2割
オンライン契約の認知率が73.3%と、18年度以降、過去最高に株式会社リクルートの住まいに関する調査・研究機関SUUMOリサーチセンターが9月1日、「2020年度賃貸契約者動向調査(首都圏)」を発表しました。賃貸契約者の動向を調査したもので、2020年度(2020年4月~2021年3月入居者)の主な結果をまとめています。
変わる住まい探しの方法、気になったのは「ペット関連」の結果
皆さんこんにちは。コンサルタントの萩原です。
今年もSUUMOリサーチセンターから「賃貸契約社動向調査」が発表されました。
この調査結果は、賃貸住宅において「住まい探しの方法」に関する条件・ニーズの変化を示しています。今回は、調査期間がコロナ禍真っ只中となりますので、どんな結果になるのか私自身非常に楽しみにしていました。リクルートさん、いつもありがとうございます!(^○^)
さて、気になる結果ですが、上にも挙げたとおり「オンライン内見実施者が全体の約2割、オンライン契約の認知率が73.3%」に上ったとのことで、外出自粛のコロナ禍にあって、オンライン内見の波が急速に広がっているようです。
そうした不動産DX化の流れも興味深いですが、その中でも私が気になったのはペット関係の調査結果でした。
平均賃料とオンライン内見率の差、ペット飼育の有無で歴然
ペット不可を凌駕するペット飼育者の平均賃料
★ ペット飼育者の平均賃料は105,847円。非飼育者より17,505円も高い |
もうね、驚きです。ペット飼育できる物件ってこんなに賃料が上がるんですね。
さらに、ここから読み取れることは、ペット可物件の需要・供給バランスにおいて圧倒的にペット可物件の供給数が足りていないということでしょう。ペットを飼育できる物件は、ほかの物件よりも希少価値が高くなるため、そのぶん家賃も上がる傾向にあるのです。
もちろん、ペット可物件にはリスクも付いてきます。飼育方法が悪ければ壁や床がボロボロになりますし、騒音問題が起きやすいのも事実です。
しかし、そんなリスクを差し引いても究極の空室対策に化けるポテンシャルも秘めています。さらに、家賃アップに合わせて資産価値も向上するオマケまで付いてくる! これって凄いことですよね。
最近はペットブームに加えて、コロナ禍による在宅時間の増加もペット需要に拍車をかけています。物件内に多くの空室があるなら、既存入居者の承諾を取ったうえで、一棟丸々ペット可物件にしてみるのはいかがでしょう。
騒音問題が心配でしたら、犬などに比べて鳴くことの少ない猫や鳥に飼育範囲を限定するのもアリですね。
《関連記事》 ◆【コラム】「ペット可」で差別化。メリット最大化のために管理会社がとるべきリスクヘッジ策とは |
オンライン内見を多用、物件探しが長いペット飼育者
★ ペット飼育者の物件探しの期間は非ペット飼育者より平均8日長い ★ ペット飼育者の約3割はオンライン内見利用(非飼育者の約2倍) |
このデータも興味深いですね。
ペットと一緒の生活を考えている人は、お部屋探しを焦らず、慎重に決めていることが分かります。オンライン内見が多いのも、ペットがいて動きづらいというのもあるでしょうが、「良さそうなら内見しようかな」「本当に気に入るところが見つかれば引っ越そう」と、入居を急いでいないことの表れと言えるでしょう。
入居者にとって、自宅から一歩も出ずに物件を確認できるオンライン内見は大変便利ですよね。仲介会社としても、オンライン内見ができる環境を持てれば他社との差別化にもなります。
しかし、オンライン内見で反響が増えても成約に繋がらず、お部屋探しが長期化するのは好ましくありません。特に仲介店舗を持っていない管理会社としては、管理料をもらうためにも一日でも早く成約がほしいところです。
では、ペット可物件で内見の確度を上げるために、管理会社としてはどのような対策が打てるでしょうか。
入居者の心を掴む「映える」ペット可物件の作り方
ただのペット可物件ではもう弱い!
対策として、まずは1件でも多くの反響を得るため、インターネット広告を強化していくべきでしょう。
入居を急いでいない人が多く、かつオンライン内見が増えていますので、ポータルサイトなどで入居者の目に留まる確率を上げることが反響獲得に役立つからです。
加えて、反響後の成約率を上げるために、ペットと一緒に住みたくなる内装・設備を取り入れて入居者の心を掴むことが必要です。
供給数が少ないとはいえ、ペット可だからと無条件で選ばれるわけではありません。
それに、せっかくペット可にして賃貸リスクを取るわけですから、ペット飼育者に気に入ってもらえる物件を目指したいですよね。そこで頼りたいのが、簡単に後付けできて、賃貸住宅でも取り入れやすいペットグッズです。
猫にフォーカス! 壁を彩る「キャットステップ」
数多い猫用アイテムの中でも「キャットステップ」はオススメです。
壁に複数のステップ(棚板)を設置することで猫が移動したり遊んだりできる空間をつくり出せるのですが、設置効果は抜群。室内飼いの猫の運動不足を解消できるうえ、問題行動を抑える効果も期待できますので、ペット飼育者にはすごく喜ばれます。
もし、猫を飼わない場合でも、本来は棚ですから本や雑貨など置いて、インテリアとしても使える便利アイテムです。
また、キャットステップの設置面にアクセントクロスや傷に強いクロスを貼ることで、壁のデザイン性・耐久性を上げることもできますよ(※ただし、設置する際は耐過重に備えてボードを一枚追加するなど対策が必要な場合もあります)。
置くだけで存在感バツグン「キャットタワー」
こちらも猫用アイテムとなりますが、内見時に「キャットタワー」を置くだけでも成約率アップが期待できます。背の高いキャットタワーは存在感バツグン。写真映えもして、インターネット広告での反響増にも役立ちます。
また、家具ですので後から設置しやすく、回収・撤去も簡単という強みもあります。インターネット通販で安価に手に入るのも魅力ですね。
室内を自由に行き来できる「ペット用ドア」
猫や犬が室内を自由に行き来できる「ペット用ドア」は、施工が必要なぶん、賃貸住宅だとまだまだ珍しいかもしれません。
しかし、珍しいというのは裏を返せば差別化になるということ。ペット飼育者にもきっと気に入られるでしょう。リフォームなどでお部屋の建具も取り替えるのなら、ぜひここまでやってみてはいかがでしょうか。
ペット向けの内装
ペット可物件で退去時の費用が高くなりがちなのは、入居者にとっても気になること。
そこで、傷やにおいに強いクロスや床材、部分的な張り替えができる腰高クロス・クッションフロアなど、貸す側だけでなく借りる側も安心できる内装に整えてあげるのも大きなアピールポイントになります。
共用部の「足洗い場」(ペット用水栓)
共用部に外水道があるなら、ペット用の「足洗い場」として提供することもアリです。
外から帰ってきて、そのままペットの足などを洗えたら入居者も便利ですよね。水道代を心配されるかもしれませんが、別の目的で使われない限り異常な数値にはならないでしょう。
また、外水道を利用するぶん、家賃を上げることで水道代をカバーすることもできます。
現地に付箋で説明書き
小技となりますが、内見客にペットグッズの狙いを知ってもらえるよう、説明を書いた可愛い付箋を設備や内装に貼っておくのも成約率アップに効果的。
些細な工夫ではあるものの、内見客にも仲介会社にも物件の良さが伝わり空室が埋まりやすくなるでしょう。
ペットのいる生活ってほんと癒しですよね(私の実家にもワンちゃんがいます)。
だからこそ、大事なペットの気持ちを汲んでくれる物件や管理会社に出会えると、入居者も安心して長く住みたいと思うものです。
ペットを愛する入居者の安心と信頼を勝ち取り、オンラインでも多くの反響を獲得できるワンランク上のお部屋づくりを目指していきましょう。