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初心者必見!宅建試験内容や傾向を徹底解説

投稿日:2022年1月26日 更新日:

不動産業や金融業で働いていると、宅建の試験を受けることを勧められたり考えたりしたことがありませんか?キャリアアップを目指す場合、また何か資格を取りたいと考えた際に、宅建資格の取得を思い浮かべることも少なくありません。
では、宅建の試験ではどのような問題が出題されるのでしょうか。

本記事では、具体的な宅建試験内容について出題範囲出題される問題の特徴について詳しく解説します。宅建試験を受けてみようと考えている人やまだ受けようか悩んでいる人は、ぜひこちらの記事を参考にしてください。

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宅建の試験とは?

宅建は「宅地建物取引」の略です。宅地建物取引業を営む者は、宅地建物取引業法に基づく免許を取得するために専任の宅地建物取引士を事務所に置かなければなりません。その宅地建物取引士になるために受けるのが、「宅地建物取引士資格試験」です。

宅建試験は昭和63年から毎年1回、10月の第3日曜日に実施されています。宅建は毎年約20万人と国家資格の中でも群を抜いて受験者数が多い、人気の資格試験です。受験資格に制限がなく誰でも受けられるのも特徴の1つで、下は12歳、上は90歳と幅広い年齢層の人が試験に挑戦しています。
国家資格であることからイメージできるように難易度が高い資格のため、合格するにはそれなりの学習量が必要になってきます。

宅建試験の概要や合格率などを総まとめ!傾向と対策とは?

宅建試験の概要

宅建試験は毎年7月から申込受付を開始し、10月の第3日曜日に実施されます。また相対評価方式のため、合格率に基準を合わせて合格ラインが毎年異なります。
また試験問題は宅地建物取引に関する4つの分野から出題されます。問題数は50問、解答は四肢択一のマークシート方式となっており、試験の時間は2時間です。
さらに宅建は、試験の一部免除を受けられる制度があります。試験よりも前に登録講習を受講し、終了試験に合格すると「登録講習修了者」となり、試験の一部(5問)が免除される試験に申し込むことができるのです。

ただし、登録講習を受講できるのは宅地建物取引業に従事している人に限られます。宅建業に携わっていない人は受講できないため、一般の試験の申し込みとなります。
登録講習修了者となった場合は、試験当日に解く問題数は45問、試験の時間は1時間50分と、一般の受験者よりも短縮されます。

宅建試験の出題範囲

宅建試験では、「権利関係」「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」の4つの分野から出題されます。出題数は分野ごとに異なり、それぞれの分野に特徴があります。

宅建初心者の場合は、まず4つの分野について知ることから始めましょう。

分野ごとの出題数

それぞれの分野から出題される問題数は決まっています。分野ごとの出題数は以下のとおりです。

項目 重要度 R5 R4 R3 R2 R1
制限行為能力者制度 B
意思表示 S
代理 S
時効 S
条件・期限・期間 C
不動産物権変動 S
所有権・共有、地役権等 A
担保物権 C
抵当権、根抵当権 S
連帯債務・保証債務等 B
債権譲渡 A
売買 S
債務不履行・契約の解除 S
弁済・相殺 A
賃貸借 S
その他の契約 C
不法行為 A
相続 S
借地関係 S
借家関係 S
区分所有法 S
不動産登記法 S

「民法」…学習範囲が膨大にあります。すべてをまんべんなく学習するというよりは、『意思表示』や『時効』などの頻出項目に絞って学習を進めると良いでしょう。

「借地借家法」…借地から1問、借家から1問出題されます。どちらの項目も突かれるポイントが毎年集中しているため、過去問学習から出題傾向を押さえると良いでしょう。

「区分所有法」…他の科目に比べて基本的な内容が多いです。出題数も1問と少ないため時間をかけすぎず、基本を押さえる学習が良いでしょう。

「不動産登記法」…細かい知識を問われる傾向にありますが出題数は1問です。テキストに深入りせず過去問学習で慣れるのが効果的です。

特に、「民法」は現代の社会経済に対応するよう数々の改正が行われています。そのため宅建初心者はそのまま学習すれば良いですが、受験が2度目以上の場合には知識をリセットする作業が必要となるでしょう。

宅建<権利関係>攻略法【2022年版】

宅建業法

宅建業法は「宅建業法」から19問、「住宅瑕疵担保履行法」から1問と2科目に分類され、全部で20問出題されます。
この分野は宅建試験のメインの分野であり、宅建士の仕事にも直結する内容です。他の分野と比べて容易であり学習範囲からまんべんなく出題されるため、20点満点を目指す人も少なくありません。

項目 重要度 R5 R4 R3 R2 R1
宅建業とは A
宅建業の免許 S
宅建士 S
営業保証金 S
保証協会制度 S
広告、契約締結時期、他 S
媒介契約の規制 S
重要事項説明 S
37条書面(契約書面) S
クーリング・オフ S
手付の額の制限等 S
担保責任の制限 A
手付金等の保全 S
「自ら売主規制」総合問題 S
報酬 S
その他の業務上の規制 S
監督処分等 S
罰則 A
住宅瑕疵担保履行法 S

「宅建業法」…2020年(令和2年度)の民法改正に伴って「宅建業の免許の基準」「宅建士の登録の基準」「担保責任の特約の制限」について改正されています。出題される可能性が高いため要チェックです。

「住宅瑕疵担保履行法」…毎年ほぼ同じ内容が出題されています。「視力確保措置」は熟読しておきましょう。

いずれもこの分野では、過去問学習をすることで知識の定着を図ることができるでしょう。

 

宅建業法の試験攻略方法とは?2023年の改正ポイントや過去の出題傾向も解説

法令上の制限

法令上の制限は「都市計画法」から2問、「建築基準法」から2問、「宅地造成等規制法」から1問、「土地区画整理法」から1問、「農地法」から1問、「国土利用計画法/その他の法令」から1問と6科目に分類され、合計8問出題されます。
土地の利用などに対して一定の制限を加える法令で構成されている分野で、覚えるべき数字が多いのが特徴的です。

項目 重要度 R5 R4 R3 R2 R1
都市計画の内容・都市計画制限等 S
開発許可の要否 S
開発許可の手続・建築制限 A
建築確認・単体規定 S
集団規定 S
宅地造成等規制法 S
土地区画整理法 S
3条・4条・5条の許可 S
国土利用計画法 S
その他の法令上の制限 C

「都市計画法」…この分野の土台となる内容であり、他の法令とも関連しているため理解を深めるべき科目です。

「建築基準法」…建築物に関する規制について出題され、数字など暗記が多いのもこの科目の特徴です。似ている数字や内容が多いですが、暗記すれば得点源となるでしょう。

「宅地造成等規制法」…得点を狙える科目です。狭い範囲の中から毎年出題されているため、基本を押さえ過去問で問題に慣れましょう。

「土地区画整理法」…稀に難問が出題されるなど学習効果が得られない場合があります。出題数は1問のため深入りは厳禁です。

「農地法」…この科目は学習効果を得やすいです。例年農地の「許可制度」から出題され、学習したことがそのまま出るため得点につなげましょう。

「国土利用計画法/その他の法令」…国土利用計画法が単独で1問出題される場合とそうでない場合があります。その他の法令は複数の法令の複合問題なので、基本を押さえたうえで過去問学習に取り組むと良いでしょう。

基本的には暗記さえできれば得点は難しくありませんが、2021年はこの分野の難問が多かったため、それぞれの制度の理解や都市計画法の全体像をつかむことを意識した学習が必要です。

宅建<法令上の制限>攻略法【2022年版】

税・その他

税・その他では「税」から2問、「地価公示法・鑑定評価」から1問、「住宅金融支援機構」から1問、「景品表示法」から1問、「土地/建物」から2問、「統計」から1問と6科目に分類され、全部で8問出題されます。
6科目中「住宅金融支援機構」「景品表示法」「土地/建物」「統計」は5問免除科目となります。

項目 重要度 R5 R4 R3 R2 R1
不動産取得税 S
固定資産税 S
所得税 B
登録免許税 B
印紙税 B
贈与税 C
地価公示法 S
土地・建物の鑑定評価 A
住宅金融支援機構 S
公正競争規約 S
土地 S
建物 S
土地・建物に関する統計 S

「税」…不動産取得税・固定資産税・所得税・登録免許税・印紙税・贈与税などのうち、2つの税から出題されます。税額計算はなく、課税対象や基本となる税率について押さえておく必要があります。

「地価公示法・鑑定評価」…毎年いずれかから1問出題されます。鑑定評価は難解な問題もあるため、深入りせず割り切った学習が良いでしょう。

「住宅金融支援機構」…機構の業務に関する出題が中心となるため、基本的な規定を押さえるようにしましょう。

「景品表示法」…この科目は常識で判断できる問題が多いです。稀に判断が難しいものもあるため、規約に関する知識を過去問学習で習得すると良いでしょう。

「土地/建物」…土地と建物からそれぞれ出題されます。学習範囲が広く難問の出題もあるため、深入りせず常識と過去問学習の繰り返しでポイントを押さえましょう。

「統計」…地価公示・建築着工統計等、土地・建物に係るデータからの出題となります。試験直前に最新データを確認することで得点できます。必ず確認しましょう。

この分野は不動産取引の実務に関連する税金やその他の規定について問われますが、学習範囲が狭く覚えやすいのが特徴的です。宅建業法と同様、得点を目指せる重要な分野です。

宅建<税法>攻略法【2022年版】

宅建<5問免除科目>攻略方法【2022年版】

過去問

宅建試験は過去問からの出題が7割以上あると言われています。過去問の類題が多く、問題内容が理解できれば解き方も過去問と同様になるため、得点につながりやすくなります。そういった理由から過去問学習が重要だと言われているのです。

ただし、毎年の試験であるように、過去問の中にも解きにくい難問があります。難問が類題として出ることは非常に少ないため、これに対する対策は必要ありません。

模試

過去問で対策できない部分を補うのが模試の役割であり、模試の問題と非常に近い内容が本番試験で出題されるケースも少なくありません。模試は資格スクールの先生など、その道に精通した人が毎年出題予想を立てて問題にしています。

私が宅建試験を受けた際にも模試と似た問題が出題され、そのおかげで迷わず解答できました。模試を受けることを「今の自身のレベルを測るための手段」だけにするのではなく、本番の試験と同じ問題と思って繰り返し学習することが重要です。

宅建試験に合格に「模試」が欠かせない4つの理由と模試活用のコツ!

改正点

法改正があった年の宅建試験には、ほぼ確実に改正点に関する問題が出ます。2020年4月1日に行われた民法の大改正によって新しく作られる問題や、今までと正誤が変わってしまう問題法律用語の変更など大きな影響を及ぼしました。
200項目を超える改正点は、今後もしばらく出題されることは間違いないでしょう。民法の学習の際には改正点を重点的に行うようにしましょう。

宅建試験の出題形式

宅建試験の出題形式は「正誤問題」「組み合わせ問題」「個数問題」の3つがあります。四肢択一方式のマークシート記入ですが、この3つの出題形式によって間違いが起こりやすくなっています。
合格するためには、出題形式に沿った解答がすぐにできるかどうかも重要なポイントとなります。知識を増やすだけでなく、以下についてもしっかり理解しておきましょう。

正誤問題

3つの中で最もシンプルな形式が「正誤問題」です。問題文の最後に「正しいものはどれか」「誤っているものはどれか」と問われ、4つの選択肢から該当するものを選び、解答します。
宅建試験では、解答を2つまで絞り込むことはそれほど難しくはありません。ひっかけ問題もあるため最後の1択がなかなか導き出せないのですが、正誤問題であれば絞った2択から解答を選ぶことが多いため、正解が分からず解いたとしても他の出題形式と比べて正解しやすいでしょう。

また問題文を読んでいる途中でも正誤がハッキリと分かった場合は、すべての文章を読まずとも解答することができます。そのため時間短縮できる形式なのです。

組み合わせ問題

次に、解答に時間がかかる「組み合わせ問題」というものがあります。組み合わせ問題は、4つの文章のうち「正しいものの組合せはどれか」「~の組合せとして、正しいものはどれか」と問われ、「ア、イ」「ア、イ、エ」など組み合わせられた選択肢から解答することになります。

主に法令上の制限の問題で出てくることが多いです。出題される数は少ないですが問題文をすべて読まなければならないため、他の形式と比べて解答に時間がかかる傾向にあります。

個数問題

解答で間違えやすいのが「個数問題」です。問題文の最後に「正しいものはいくつあるか」「誤っているものはいくつあるか」「違反するものはいくつあるか」「違反しないものはいくつあるか」と、個数が問われます。
例えば「誤っているもの」の個数を解答しなければならないのに「正しいもの」の個数を解答してしまうなど、聞き方のややこしさに加えて解答するものを誤ってしまう可能性が出てきます。

このような個数問題は主に宅建業法の問題で出される場合が多いです。また解答文の内容をすべて理解していなければ正解にたどり着けないため、時間がかかり間違えやすい形式と言えるでしょう。

まとめ

宅建試験は毎年多くの人が受験されています。試験の出題範囲を知ることで、「自分には難しそう…」「自分でも受けられそう」「挑戦してみたい」とそれぞれ感じることがあるでしょう。難易度の高い資格ですが、合格すればさまざまな場面で資格を活かすことができます。

効率良く勉強すれば、一発合格も夢ではありません。宅建資格に合格して、仕事や実生活に役立てていきましょう!

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