『今年こそは宅建試験に合格したい!』
『今年は何か資格を取得したい!』
と、今年の目標を決めている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、宅建試験の受験を考えている方に向けて
- 宅建試験の概要や配点
- 宅建取得のメリット
- 宅建の将来性
などを分かりやすく説明していきます。
[stken1]この記事で学べること
宅建試験(「宅地建物取引士」資格試験)とは
宅地建物取引業を行おうとする者は、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という)により、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けなければいけません。
その免許を受けるには、社員5人に1人が宅建士でなければいけません。
そして、宅建士になるには、宅建業法で決められた宅建試験に合格する必要があります。試験は、一般財団法人不動産適正取引推進機構(以下「不動産適正取引推進機構」という)が、国土交通大臣から指定試験機関として指定され、都道府県知事の委任を受けて実施します。
宅建試験に合格して所定の条件を満たすと⇒宅建士登録ができる |
宅建士(宅地建物取引士)とは
一般的には宅建や「宅建士」などと呼ばれることが多いと思われますが、正式名称は「宅地建物取引士」となり、国家資格のひとつです。
人気資格ランキングでは、かならずといっていいほど登場し、2023年の受験者数は、233,300人となる最大規模の国家資格となります。
宅建士とは、以下の3つの要素を兼ね備えた者のことを指します。
- 宅建試験に合格し
- 都道府県知事から資格登録を受けて
(実務経験2年未満の方は、実務講習の受講が必要)
- 都道府県知事が発行する宅建士証の交付を受けた
宅建士証の有効期限は5年となり、5年ごとに更新が必要です。
宅建業法では、重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印、契約書への記名押印は、宅建士の独占業務として定められています。
宅建士=宅地建物取引業を行う会社は、法律で決められた人数を配置する義務がある |
宅建試験の概要
宅建試験は、「不動産適正取引推進機構」が、都道府県知事の委任を受けて実施するため、宅建試験は各都道府県で実施されます。
宅建試験の基準は、宅建業の実務知識があるかどうかを判定することにおかれています。内容としては、おおむね以下のようになります。
- 土地の形質・地積・地目・種別、建物の形質・構造・種別に関すること
- 土地・建物の権利、権利の変動に関すること
- 土地・建物の制限に関すること
- 宅地・建物の税金に関すること
- 宅地・建物の需要に関すること
- 宅地・建物の価格評定に関すること
- 宅建業法・関係法令に関すること
試験の概要はこちらから確認できます。
試験の
一部免除 |
登録講習機関が実施する講習をおさめ、修了試験に合格した者(以下「登録講習修了者」という)は、3年以内に行われる試験の一部を免除されます。(50問中5問免除されます)
ただし、登録講習を受けられるのは、不動産会社に勤務しており従業者証明書を持っている方のみです。 |
実施広告など | 原則として、6月の第1金曜日に、官報や不動産適正取引推進機構ホームページで発表されます。 |
試験の方法 | 50問の四肢択一によるマークシート方式の試験です。
(登録講習修了者は45問です。) |
受験資格 | 誰でも受験できます。(年齢、性別、学歴による制限なし) |
試験地 | 原則として、現住所の都道府県。(合格後、資格登録は試験地の都道府県知事に申請します) |
試験日 | 年1回、10月の第3日曜日
13時~15時の2時間 (登録講習修了者は13時10分~15時の1時間50分) |
受験手数料 | 8,200円 |
合格発表 | 原則として、11月の第4火曜日に都道府県ごとに発表します。 |
宅建試験の試験科目と配点
科目 | 問題数 | 点数 |
宅建業法 | 20問 | 20点 |
法令上の制限
・都市計画法 ・建築基準法 ・国土利用計画法 ・農地法 ・土地区画整理法など |
8問 | 8点 |
その他の法令
・不動産に関する税金 ・免除科目5問(建物・土地に関する知識、近時の統計など不動産取引に関する知識など) |
8問
(登録講習修了者は3問) |
8点
(3点) |
権利関係
・民法(約10問) ・借地借家法 ・不動産登記法 ・建物区分所有法など |
14問 | 14点 |
登録講習修了者は、5問免除となります。
五点免除については、こちらの記事がおすすめです。
例)合格基準点が35点の場合
登録講習修了者の合格基準点は30点(35点-5点)となります。
民法改正に伴う宅建の試験内容に関する参考記事はこちら
「宅建試験」受験手続きの流れ
①試験案内の掲載と配布 | ・インターネット:7月1日~中旬ごろ
・都道府県ごとに指定の場所で配布:7月1日~下旬ごろ |
②受験申込 | ・インターネット:7月1日~中旬ごろまで
・郵送:7月1日~下旬ごろまで |
③試験会場通知の送付 | 8月下旬ごろ |
④受験票の送付 | 9月末ごろ |
⑤試験の実施 | 10月の第3日曜日 |
⑥合格発表 | 原則として、11月の第4火曜日 |
⑦合格証書の送付 | 合格者には、受験申込書に書かれた住所に簡易書留で、合格発表の数日後に合格証書が送付されます。 |
宅建士として活動するためには、合格後に宅建士として登録手続きを行い、宅建士証を発行する必要があります。
ただ一回合格すれば、宅建試験合格の効力は取り消しにならないため、宅建士としてすぐに活動しない場合には、焦って登録しなくても良いでしょう。
宅建試験の合格率
受験者数 | 合格率 | 合格基準点 | |
2023年 | 233,300 | 17.2% | 50問中36点 |
2022年 | 226,022 | 17.0% | 50問中36点 |
2021年12月 | 24,965 | 15.60% | 50問中34点 |
2021年10月 | 209,749 | 17.9% | 50問中34点 |
2020年12月 | 35,258 | 13.1% | 50問中36点 |
2020年10月 | 168,989 | 17.6% | 50問中38点 |
2019年 | 220,797 | 17.0% | 50問中35点 |
2018年 | 213,993 | 15.6% | 50問中37点 |
2017年 | 209,354 | 15.6% | 50問中35点 |
2016年 | 198,463 | 15.4% | 50問中35点 |
2015年 | 194,926 | 15.4% | 50問中31点 |
※2024年3月現在
※2020年と2021年は、新型コロナウィルス感染症対策のため2回にわけて実施
宅建試験は国家資格ということもあって、合格率は15%~17%台と低い水準で推移しています。また、合格基準点としては50点中34点~38点と、約75%を正解する必要があり、試験の難しさがわかります。
しかし、難易度が高いにもかかわらず申込者数は増加傾向にあります。2011年には約23万だった申込者数が、2021年にはなんと約29万人と、約6万人も増加しています。この増加傾向は、今後も続くと予想されており、このあたりからも非常に人気の高い資格であることがわかります。
このように難易度が高い資格であることから、ある程度長期間にわたって勉強する必要があります。働きながら宅建資格の合格を目指す方は、独学よりもスクールや通信講座などで、効率的に勉強をすすめた方が確実です。
宅建試験に合格するためのおすすめ勉強方法
宅建に独学で挑む際に欠かせないのが、どうやって勉強をするかです。宅建は知名度も高く、資格学校以外にも参考書や問題集、YouTube動画など様々な独学用の教材を自分で揃えることができます。
宅建の勉強方法には、以下の4つがメインです。
最も費用対効果が高く、おすすめの勉強方法はオンライン通信講座です。
オンライン講座とは、オンライン上で宅建に関する学習コンテンツがまとめられているサービスです。具体的には、「スタケン宅建講座」「アガルート」「フォーサイト」などが有名な宅建のオンライン学習サービスです。
オンライン講座を活用するメリットは、体系的に様々な知識を得られ、宅建対策専用の高品質の講座を受けられる点が挙げられます。特に、宅建試験に関する最新情報やコーチを付けながら学習を進められるため、独学でありながらより質の高い学習を実現できます。
一方で、テキストやYou Tubeよりもコストがかかってしまうため、自分に合ったサービス選びや時間確保が必要です。
コストや学習の質のバランスが取れた独学方法ですが、まずは無料体験などを活用しながら自分に適したサービスを探してみましょう。
おすすめオンライン学習サービス「スタケン宅建講座」はこちらから
宅建試験に合格するためのおすすめ勉強スケジュール
宅建合格に必要な学習時間は200~300時間と一般的に言われており、1日2時間程度確保できれば(スキマ時間含む)良いかと思います。
1日の勉強時間に多少の誤差があっても、継続することが大事です。
お仕事などできついときは簡単にできる一問一答や、テキストの読む量を減らすなど調整をして、毎日少しでも宅建に触れることは忘れないでください。
時期ごとの勉強方法についてはこちらの記事がおすすめです。
宅建士を取得するメリット
宅建士を取得するメリットとしては
- 就職や転職などのキャリアアップの有力な武器になる
- 資格手当が得られるなど収入アップにつながる
- 一生涯使えるライセンスである
などといったことが挙げられます。ひとつひとつ詳しく説明していきます。
就職や転職などのキャリアアップの有力な武器になる
不動産業界や建設業界は当然として、金融業界などに就職や転職する場合において、宅建取得者は非常に有利になります。
その他の業界でも、法律知識と向上心がある人材と積極的に評価されるでしょう。特に企業の総務部、法務部、管理部などでは有利です。
また、不動産会社は社員5人に1人以上の割合で宅建士を配置することが、法律で義務付けられています。このような背景もあり、宅建士のニーズは非常に高くなっています。
資格手当が得られるなど収入アップにつながる
宅建士として不動産会社や建設会社に就職した場合、資格手当などが支給されることが多いでしょう。入社時に宅建士を取得していなくても、入社後に取得すれば資格手当などは支給されます。
また、宅建士取得のための受講費用を補助している会社もあります。
男女差はなく、月に1万円から3万円ほど資格手当として支給される場合が多いようです。月2万円として年間24万円です。
ただし、資格手当を支給するかわりに、基本給やその他の手当を低くして、総支給額を調整している会社もありますので、あらかじめしっかりと確認しておきましょう。
一生涯使えるライセンスである
宅建士は国家資格に認定されていることから、一度取得すると一生涯有効な資格です。
とはいえ、宅建試験に合格したからといってすぐに宅建士を名乗れるわけではなく、資格登録してはじめて宅建士と名乗れます。
登録にあたっては2年以上の実務経験か、所定の「登録実務講習」を修了することが必要です。「登録実務講習」は基本的には2日間講習を受け、講習修了の簡単なテストに合格するだけです。
不動産業界以外で勤務されている方は、ひと手間かかりますが、一生涯有効な国家資格を取得できると考えれば非常にコストパフォーマンスが高いといえます。
すぐに登録しなくても、宅建資格を使うことが決まってから登録するのも1つの方法です。キャリアアップ手段として、ひとまず宅建士を取得しておくのも良いでしょう。
宅建試験に合格すると何ができるようになるの?
宅建試験の概要についてわかったところで、宅建士の業務内容について説明します。宅建士の独占業務(宅建士にしかできないこと)には、下記の3つがあります。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名押印
- 契約内容書面への記名押印
ひとつひとつ詳しく説明していきます。
重要事項の説明
これまでにアパートやマンションを借りたり、マイホームを買ったりしたことがある方は、「重要事項の説明」を経験されたことがあるのではないでしょうか。
不動産物件を賃貸・売買する際には、契約前に物件に関して重要な事項を、宅建士が借主・買主に説明しなければいけません。借主や買主は、不動産取引や法律に詳しいわけではないので、トラブルを事前に防止するために法律で義務付けられています。
「重要事項の説明」には
- 売買代金
- 支払時期
- 電気・ガス・水道などの設備状況
- 契約の解除条件など
が含まれており、いずれも契約前に知っておかなければならない重要な事項です。
重要事項説明書への記名押印
「重要事項の説明」では、口頭で説明するだけでなく、重要事項が記載された書面をお客さんに渡さなければいけません。この書面を「重要事項説明書」といい、宅建士による記名押印が法律で義務付けられています。
口頭で重要事項を説明しただけではトラブルが発生した場合に、責任の所在が不明確であり、お客さんが説明内容を理解できたかどうかも、はっきりしないからです。
そのため「重要事項説明書」をお客さんに渡して、宅建士が記名押印することで、説明に間違いなどがないことを証明します。
契約内容書面への記名押印
不動産取引の内容を書面にすることで、契約内容を明確にします。また、宅建士が「契約内容書面」に記名押印することによって、契約内容に間違いがないことも証明します。
宅建士は将来性のある魅力的な資格
近年では業務のIT化・AI化によって、マンパワーによる事務作業が減少しています。一説ではIT化とAI化によって、数十年後には今ある仕事の8割はなくなるといわれることがあります。国家資格である士業の世界も例外ではありません。
そのような状況の中で、宅建士の将来性は比較的明るいといわれています。その理由を詳しく説明します。
宅建士の需要は法律に守られている
不動産取引を行う宅建業者が守らなければならない法律に「宅建業法」があります。この宅建業法において、宅建業者は社員の5人に1人を宅建士にしなければならないと定められています。
つまり、不動産業界において宅建士の需要は法律によって守られています。
不動産会社の社員は5人に1人が宅建士=宅建業法で義務付け! |
さらに、大手不動産会社では5人に1人ではなく、すべての営業社員に宅建資格の取得を求めている会社もあります。
これは、すべての営業社員が宅建資格をもっていることで、会社としての信用を高められるからです。
また、近年は宅建関係の法律が年々きびしくなっていますので、適正な不動産取引を行うためにも、宅建士の需要はますます高まっているといえます。
AIの苦手分野の仕事が多い
現状、以下の不動産取引に関わる業務は、宅建業法により宅建士しか行えません。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名押印
- 契約内容書面への記名押印
これは、IT化やAI化がすすんでも、変わることはありません。
また、前述のとおり、不動産会社の社員は5人に1人が宅建士でなければなりません。これも法律で義務付けられていますので、AIが替わりをつとめることはできません。
不動産取引は、お客さんの意見や心情さらには性格や感情を読み取り、総合的な判断をしながら提案する必要があるため、AIの苦手分野の仕事が多くなります。
特に不動産の売買に関する取引では、その傾向が強くなりますので、対面で相談したいというニーズは高いといえます。
このように宅建士は、AIの苦手分野やAIでは替わることのできない仕事が多く、将来性のある資格といえます。
不動産需要はなくならない
人口の減少などの影響で、不動産需要が減少していくことはあるかもしれませんが、不動産取引は人が生活していくうえで必要なもので、不動産需要がなくなることはありません。
「衣食住」といわれるように、住(不動産)がなければ、人は生活ができないのです。
また、人口が減少しても
- 新駅の設置
- 周辺地域の開発
- ライフスタイルの変化
などで、不動産取引が活発化することもあります。
このような面から見ても、人口減少社会の中でも宅建士の需要は高いといえます。
まとめ
- 宅建は人気が高く、申込者数25万人前後の最大規模の国家資格。
- 宅建試験は年1回、10月の第3日曜日に行われる。
- 宅建試験の合格率は、15%~17%台と難関資格になる。
- 宅建試験に合格し、資格登録し宅建士証を交付されれば宅建士になれる。
- 不動産会社は、社員の5人に1人は宅建士をおく法的義務がある。
- 大手不動産会社では、営業社員すべてに宅建取得を求める会社もある。
- 宅建はメリットが多い(就職や転職に有利、収入アップ、一生涯有効)。
- 宅建士は将来的にも有望な資格。
IT化やAI化、人口減少社会など、さまざまな社会的な要因によって、数十年後にはなくなる仕事や資格もでてくることが予想されています。
そんな厳しい社会環境の中にあっても、宅建は非常に将来性のある魅力的な資格といえます。
宅建に将来性がある理由を3つほど説明しましたが、それ以上に分かりやすく明確な根拠があります。
それは、宅建試験の申込者数が増加しつづけていることです。
ライフスタイルやビジネススタイルも変化を余儀なくされました。そんな中にあって、宅建試験2021年の申込者数はなんと約29万人です。10年前の2011年と比較すると約6万人の増加です。
他の難関国家資格では、申込者数は減少傾向にあるものも珍しくありません。そんな中での大幅増加です。多くの人や社会全体が、宅建の将来性を認めている証拠の1つといえるでしょう。
ただし、難易度が高い資格であることから、働きながら宅建資格の合格を目指す方は、独学よりもスクールや通信講座などで、効率的に勉強をすすめた方が合格率を上げられるでしょう。
2024年に宅建試験の合格を目指している方は、宅建が魅力的な資格であることを再度認識してがんばりましょう!
2024年に何か資格を取得したい方には、将来性のある宅建試験をおすすめします!
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